正式発表は11月20日 アストン マーティンDBXプロトタイプに初試乗
公開 : 2019.11.08 09:50
ドリフトも可能なオフローダー
車両中央にはセンターデフが備わり、駆動力は最大でフロントへ47%、リアへ100%振り分けることが可能。電子制御のLSDが効率をさらに高めてくれる。タイヤは標準のラジアルからオールシーズン、ウインタータイヤまで選べるが、すべてピレリ製の専用品だ。
アストン マーティンがテストコースとする、シルバーストーン内のストウサーキットはウェットコンディション。恐らく普通のユーザーなら試さないと思うが、DBXはドリフトも可能だった。大型SUVであっても、アストン マーティンがハンドリングを重視している証拠でもある。
ドライブモードは複数用意され、車高は高速性能を向上させるために30mm下げたり、悪路性能を高めるために45mm持ち上げたりできる。オフロードに特化したモードでは、最大渡河深度は500mmで、アンチロールバーは無効になるように機能する。
実際、DBXのオフロード性能は極めて高いと感じた。ベッカーによれば、濡れた草地で馬を乗せたトレーラーを牽引する能力は、標準的な顧客対象として重要な部分なのだという。DBXの牽引重量は2.7tで、ルーフには100kgまでの荷物が詰める。
アストン マーティンのアクティブ・アンチロールバーは完全に切り離せない構造。ボディロールを減らすためにトルクを掛けるだけでなく、逆に力をかけて滑らかな足の動きとなるようにも機能する。
ベンテイガより全長は短いが広い車内
聞くだけでは理解が難しいが、長い時間をかけて開発されただけあって不自然さはない。アクティブ・リアステアリング機能は付いていない。
試乗したDBXプロトタイプの車内は偽装されていたものの、その隙間から素材感などはわかった。アストン マーティンは同社のスポーツカーより、素材の品質を重要視しているようだ。
インフォテインメント・システムなどはメルセデス・ベンツ譲りの最新版。メーターパネルは他のアストン マーティンより高級感があり、プラスティック製パーツはほとんど目につかない。
車内は広く、リアシートでも大柄の大人が快適に座ることができる。ドアの開口部も大きく、乗降性にも優れている。
DBXの正式なボディサイズは明らかになっていないが、ホイーベースはベントレー・ベンテイガの2995mmより長く、全長は5140mmより若干短いという。リアドアの開口部が大きいことを裏付けている。荷室容量は480Lとのこと。
今回われわれが試乗したDBXプロトタイプは「1PT」と呼ばれるクルマ。英国セント・アサンにアストン マーティンが新設した工場から生まれる3段階のプロトタイプのうち、初めに試作されるクルマだった。
「2PT」と「3PT」がその後製造され、煮詰められた後に「Job 1」モデルが続く。こちらは顧客向けの量産モデルで、2020年春にはショールームに並ぶことになる。