試乗 トヨタ新型ヤリス・プロトタイプ 内燃/ハイブリッド/内装の進化は?
公開 : 2019.11.09 00:00 更新 : 2022.12.12 21:29
コーナリングは?
ハンドリングはたいへん素直で、好感が持てる。
最近トヨタはステアリングの取り付け剛性に対して意識的だけれど、電動パワーステアリングであることをほとんど意識させないしっとり感がある。
車両重量はハイブリッド車同士の比較で、50kgも軽い1050kg(開発目標値)を実現。このうち、ボディのハイテン(高張力鋼板)化で約16kg、外板薄板化で6kg、シャシーで6kgダイエットしている。バッテリーをニッケル水素からリチウムイオンに変更したことも大きい。じつはこれだけで20kg以上も軽くなっている。
その一方、ねじり剛性は30%強化されている。プラットフォームのツギハギのように見える補強板は、エンジニアの知恵、と汗、はどうか知りませんが、ともかくその賜物なのだ。
軽量・高剛性ボディに組み付けられたサスペンションは、ロールは大きいけれど、ロール・スピードがゆっくりしていて、加減速時の姿勢変化が小さいことが好ましい。変な動きをまったくしないので、安心してドライブできる。
1.5L ハイブリッド車
次に乗ったハイブリッドは、モーターのアシストを受けているから、静かで速いことは間違いない。
最高出力は91ps/5500rpmと先代1.5リッター4気筒の74psより24%増しで、車重が50kg軽くて、さらにリチウムイオン電池の採用で電池の能力が入力で2倍、出力で1.5倍になっている。0-100km/h加速は2秒弱も速くなっているという。
ところが、タイヤが175/70R14で、その直前に乗った185/55R16よりタイヤの性能が低い。その分、なんだか物足りないと感じてしまった。冷静になってみると、タイヤ性能が低くても、車両姿勢が安定していることは同じだったということはいえる。
続いてハイブリッドの4WDに試乗した。4WDといってもプリウスのE-Fourと呼ばれる電気モーター式のユニットを移植したもので、サーキット走行においてはほとんど重りにしかなっていないらしい。
4台目は、オートカー読者諸兄も注目されるであろう1.5リッター3気筒の6速マニュアル・トランスミッション仕様である。
1.5L ガソリン車(MT)
正直にお伝えすると、筆者はこの6MTをうまく操作できなかった。クラッチのミート・ポイントが奥過ぎるのと、6MTそれ自体のストロークが長すぎることが要因だ。
ワンメイク・レースのベース車両という考えもあるようだけれど、ヒール&トーもダブル・クラッチもむずかしい。これはエンジンのレスポンスがイマイチだからではあるまいか。と自分の技量を棚にあげて思ったりした。
ドライビング・スキルを磨くには、これぐらいむずかしいほうがいいかもしれない。あるいは、ヒール&トーなんてドイツ人は使わなくても速く走るのだから無問題と考えることもできる。
だけど、せっかくマニュアルなのだ。ギアをセレクトするレバーを入れたり出したり、シフトの瞬間の喜びをヴィヴィッドに感じたいではないか。
ま、それには腕を磨けばいいのだけれど、間口を広げることも大切ではないでしょうか。