ニュルブルクリンクでSUV記録樹立 アウディRS Q8プロトタイプ 助手席試乗
公開 : 2019.11.11 09:50
ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで、メルセデスAMG GLC 63Sのラップタイムを12秒も更新した、スーパーSUVのアウディRS Q8。公式発表に先駆けて、AUTOCARでは助手席に試乗する機会を得ました。
ニュルブルクリンク7分42秒
アウディRS Q8の正式発表はこれからだが、既に記録的な速さを見せつけた。600psのパワーを放つ高性能フラッグシップSUVは、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでのSUV周回記録を新たに打ち立てたのだ。
RS Q8は、1周20.8kmのコースを7分42秒253で走ったという。メルセデスAMG GLC 63Sが以前に記録していたラップタイムを12秒も更新したことになる。日産GT-Rが2007年に記録したラップタイムは7分38秒だったから、その速さがわかるだろう。
SQ8の進化版となるRSに搭載されるのは、4.0LのV型8気筒ツインターボエンジン。新しいアウディRS6にも搭載されるユニットだ。最高出力は600psで、最大トルクは81.4kg-mを発生する。0-100km/hは3.8秒でこなし、最高速度は305km/hに届く。
SQ8に採用されるエアサスペンションと電圧48Vによるアクティブ・アンチロールバーは、RS Q8にも搭載。だがソフトウェアは専用で、スプリングレートは10%硬くなり、アダプティブ・ダンパーの減衰力も15%引き上げられている。
4輪操舵システムに、トルクベクタリング・スポーツ・リアデフも搭載。装着するタイヤはピレリPゼロの専用品。タイヤサイズは最大で、23インチの295/35 ZRまでが選択できるという。
「RS Q8でのサーキット走行を叶えるだけでなく、日常的な利便性も保たせています。静かで快適で、天候も問わないタイヤが必要でした。ですが、驚くようなラップタイムで走る性能も備えています。このタイヤで目標を達成しました」 とアウディスポーツの開発部門トップ、ビクター・アンダーバーグは述べている。
80%の本気度でも容赦ない加減速
構造やデザイン面での違いは小さい。23インチホイールのオプションが追加となるほかには、変更を受けたフロントグリルと、カーボンファイバー製のトリム、ロワー・バンパー、リアディフューザーなど。1対の極太オーバル・マフラーはRSの象徴でもある。
ずば抜けた走行性能を持っていながら、RS Q8は日常利用も前提な量産SUV。11月後半に正式発表される予定だが、AUTOCARは開発現場での独占的な取材だけでなく、ニュルブルクリンクでの助手席試乗も許された。
アウディのエースドライバー、フランク・スティップラーは本気だ。この日のニュルブルクリンクは一部湿っている区間もあるものの、記録破りを達成した時と同様に、基本的には乾燥状態。もし完全なドライだったら、ラップタイムは4〜5秒早くなった可能性もあるらしい。
ショットガンのようなクルマで走ると正確に操縦することも難しいが、RS Q8からは助手席の座面や背もたれ越しに充分な感触が伝わってくる。優れた走行性能の証だ。
加速は容赦ない。試乗後に計測機械のデータを確認すると、290km/hまで速度が上がる長いストレート、ドッティンガー・ホーエ手前のカーブでは、内側のリアタイヤは荷重が抜け、軽くホイールスピンしていることもわかった。
オプションのカーボンセラミックブレーキの効きも素晴らしい。高い速度域から強烈にクルマを静止させようとする。全開走行に対して80%位の周回なら、ブレーキにはまだまだ余力が残っている。