440psの最速マカン ポルシェ・マカン・ターボに試乗 真骨頂の操縦性

公開 : 2019.11.12 09:50

真骨頂といえるコーナリング能力

新しいエンジンは、マイナーチェンジ前と同様に造作なく鋭い加速を体験させてくれる。同時に以前のように、個性が少し薄い。オプションのスポーツ・エグゾーストからは控えめなバリトン・ノイズに、破裂音が時折混ざる。

トルクカーブはフラットで、シームレスな7速PDKに知的な4輪駆動システムとの組み合わせで、アクセルを踏み込んでもスペックほどの劇的な印象は残らない。ちなみにスポーツ・クロノパッケージの場合、0-100km/h加速は4.5秒だ。

ポルシェ・マカン・ターボ
ポルシェ・マカン・ターボ

メルセデスAMGGLC63が搭載するV8エンジンの方が、サウンドやドラマ性では圧倒的に上。加えて加速やスピードの面でも、マカン・ターボが決定的に優位というわけでもない。

だがポルシェの真骨頂はコーナリング能力。1945kgという車重の存在を見事に隠した走りに、頭は少し混乱する。ニュートンがその場に立ち会ったなら、自身が立証した運動の法則を疑ってしまうかもしれない。

短く詰められたノーズをコーナーの内側へ向ければ、フロントタイヤはしっかり路面に食らいつく。素早くボディは向きを変え、ロールは抑え込まれる。そのまま不思議に思えるほどのグリップ力と安定性を保って、コーナーを脱出していく。

機敏性は、リアデフのトルクベクタリング機能によって強化。コーナー外側のリアタイヤを強く前へ押し出させることで、早めの加速を実現させ、そのまま直線でのスピードへと結びつけている。

操縦性にはポルシェらしい適切な重み付けと正確性が与えられ、SUVの中では随一のドライビング体験を実現。強化されたブレーキは、重量級のマカンのスピードをいとも簡単に失わせる。

運転が楽しめるSUVのデフォルト候補

今回の試乗条件が良くなかっただけに、マカン・ターボの卓越した走行性能を強く感じることができた。初めて走る路面が滑りやすい道路でも、通常のスポーツカーを引き離せるパフォーマンスは特筆に値する。濡れた路面でスタビリティ・コントロールをオフにすれば、パワー・オーバーステアに持ち込むこともできそうだ。

乗り心地は、優れた操縦性を確保しながら、しなやかさも感じられるボーダーライン上にある。低速度で走行していると、稀に強い振動が伝わることがあったが、試乗車の大きな21インチホイールが原因かもしれない。

ポルシェ・マカン・ターボ
ポルシェ・マカン・ターボ

車重の50%位を消し去ったかのような、物理的な合理性を失わせるほど、想像を超えた機敏な走りを実現させているマカン・ターボ。実用性も高く、低速域でも快適で静かという特性も美点だ。運転にのめり込んでいると、2t近いSUVに乗ということを忘れてしまう。まるでスポーツサルーンのようだ。

マカン・ターボは、実用性の高いファミリー・エクスプレスといったところ。スポーツサルーンのように運転が楽しめるSUVをお探しなら、ポルシェ・マカンはデフォルトで候補となるべきクルマだといえる。

だが1つ付け加えるなら、V6エンジンの個性の薄さ。価格で身近な標準のマカンやマカンSも、充分に素晴らしい動的性能を備えている。特にマカンSでも充分に速いことは、気に留めておきたいところだ。

ポルシェ・マカン・ターボのスペック

価格:6万8530ポンド(952万円)
全長:4697mm
全幅:1923mm
全高:1624mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:10.2km/L
CO2排出量:224g/km
乾燥重量:1945kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:440ps/5700-6600rpm
最大トルク:56.0kg-m/1800-5600rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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