イヴォークの駆動系を移植 ランドローバー・ディスカバリー・スポーツに試乗
公開 : 2019.11.14 09:50
黒子のようにオフロード走行を支援
なカーブでギクシャクすることなく、ボディロールも最小限。ディスカバリーの「スポーツ」であることを証明するかのようだ。
アクセルペダルのオン・オフで姿勢を変えていけるクルマではないし、ステアリングホイールにグリップ力の残量が伝わるわけでもない。だが期待以上のコーナリングの楽しさには、驚かざるを得ない。
乗り心地も極めて良い。舗装が剥がれた鋭い穴を通過したり、キャンバー角の大きな変更がなければ。オフローダーとして、どこへでも走っていける実力と組合わさり、ほとんどのオーナーは、ディスカバリー・スポーツの限界領域を知ることはないだろう。
移植に成功した新しいプレミアム・トランスバース(横置き)・アーキテクチャによって、新しい電子制御ホイール・マネージメント技術も導入された。滑りやすい急斜面でタイヤが空転している状況で、鋭く加速することが脱出方法だとドライバーが考えていても、クルマの方でちゃんと対応してくれる。
仮に闇雲にアクセルペダルを踏んでいても、ディスカバリー・スポーツは地形に最適なアルゴリズムを導き出し、ドライバーをその状況から抜け出させてくれるのだ。例えオールシーズン・タイヤを履いていなくても、砂や土、岩場であっても黒子のように助けてくれる。
目に見えない部分での大きな進化
多くのドライバーの場合、ディスカバリー・スポーツでのオフロード走行で意識するのは、他の部分になるだろう。例えば、車内の大きなタッチモニター式のインターフェイス。部分的にモニター式になったデジタルメーター。大きくなった荷室容量や、40:20:40で分割してスライドできる2列目シートなど。
シート自体もデザインし直され、フロントシートにはマッサージ機能も内蔵された。3列目シートもオプションで設定できるようになっている。このクラスでは珍しい。
他のモデルのマイナーチェンジと異なり、多くは目に見えない部分だが、得たものは本物の中身だといえる。特にスピードで勝っていたり、燃費で優れていたりはしなくても、同じ価格で得られるクルマとしての価値は大きく向上した。
快適で実用性が高く、オフロード性能にも優れている。道を選ばないファミリーSUVとして、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツは真っ先に指名して然るべきクルマだといえる。
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツD180 AWD SEのスペック
価格:4万3175ポンド(600万円)
全長:4597mm
全幅:1920mm
全高:1727mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:11.8秒
燃費:14.1km/L
CO2排出量:185g/km
乾燥重量:1953kg
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:180ps/4000rpm
最大トルク:43.7kg-m/1500−3000rpm
ギアボックス:9速オートマティック