レストモッド 至高の3台対決 アルファ vs ポルシェ vs ジェンセン 中編
公開 : 2019.11.17 11:50 更新 : 2022.04.14 16:59
アルファ 思わず汗ばむ
汗をかいていたが、それはこのアルファホリックス製GTA-R 290にエアコンがなかったせいでもなければ、そのしっかりと体を固定する4点式シートベルトのせいで手動の窓が開けられなかったからでもない。
汗の理由は、この軽量級のアルファを思い切り走り回らせるには、それなりの筋力が必要だったからだ。
夜が明け、気持ちの良い明るい朝を迎えたことで、昨夜のヘッドライト事件のこともすっかりと忘れることができた。
ペンディン近郊のホテルから出発すると(どこへ行っても注目を集めずにはおかないこの3台のせいで、予想よりも駐車場を出るのが遅れてしまった)、まさにこうしたモデルに相応しい走りを試すべく、ワインディングを求めてブラック山地へと向かったのだった。
ワインディングロードでのこの3台は、現代のモデルに比べれば2倍ほども頻繁な操作を要求し、パワーアシストに慣らされたドライバーにはその腕や足にかえって来る手応えは驚くべきものだろう。
それでも、この3台ではすべてが活気に溢れ、ドライバーの努力は素晴らしい喜びを与えてくれるのであり、GTA-Rであればその見返りも非常に大きい。
このコンパクトでクイックなアルファはまさにこうしたワインディングで見事な輝きを放つのであり、目が眩むほどの機敏さで踊るようにコーナーをクリアしていく(ルームミラーに写る、プライアーがステアリングを握るジェンセンが、まるで船のように大きくボディを揺らしながら、果敢にもGTA-Rについてこようとしている様子は、いかにこのアルファの敏捷性が優れたものであるかを物語っていた)。
ジェンセン 意外なトラクション性能
グリップとスリップの見事なバランスを備え、ステアリングは重いがクイックで正確、そして本物のフィードバックを返してくる。ポルシェには劣るかも知れないが、それも僅差でしかない。
硬くストロークの短いサスペンションは時に突然の乱れを見せるが、基本的にGTA-Rはフラットな姿勢で高いコーナリングスピードを保ったまま、不整路面も落ち着いて処理していく。
もちろんエンジンも素晴らしい。まさに天井知らずの回転上昇を見せるが、高速では早めのシフトアップによって、電子制御された扱いやすいトルクを利した運転をすることも出来る。
それでも、依然としてダイレクトな速さを感じさせるこのクルマは、今回集まったなかではもっともケーターハムに近い存在だと言える。
そして、ロードテスター全員がジェンセンにとってはサーキットよりもこうしたワインディングのほうがより相応しいと納得したものの、インターセプターにこうしたコメントはまったく当てはまらない。
もちろん、より大柄なボディと車重を備えたこのモデルが得意としているのは高速クルージングであり、アルファ・ロメオやポルシェとは違い、コーナーでは出口でようやくアクセルを踏み込むようなドライビングスタイルが求められる。
だが、驚くべきことにそのトラクション性能は素晴らしく、トラクションコントロールの必要性をほとんど感じさせないばかりか、パワーアシストを備えることでもっとも安楽な操作が容易なステアリングも、このクルマに相応しいフィードバックを返す。