マツダ・ロードスター 45台のコレクション 伊のコレクターを訪問 後編
公開 : 2019.11.23 16:50 更新 : 2024.07.23 11:04
レース仕様の3代目も充分に楽しい
2015年に発売された4代目ロードスターは、初代の軽快な雰囲気を復活させたことで高い評価を獲得したが、3代目までは徐々に大きく、ソフトになっていった。そんな3代目のNC型は歴代の中でも評価の振るわないモデルだ。だが輝きは完全には失っておらず、このオープン・レースカーも充分に楽しい。
2010年に、欧州でのロードスター発売20周年を記念したクルマで、作られたのは30台のみ。イタリアのアドリア・インターナショナル・サーキットで、モータージャーナリストを集めた4時間耐久レースのために企画された、ロードスターのレーザーだ。
マンチーニはイタリアのチームが乗った2台の内の1台を手に入れた。ボディカラーはイタリア国旗のトリコロールに塗られている。元は標準のロードスターだったが、エングストラー・モータースポーツ社の手によってコンペティション仕様に変えられている。
オーディオやカーペット、エアバックなどは軽量化のために取り外され、120kgをダイエット。そこへFIA規格のロールケージとバケットシートが組まれ、軽量なモーテック製17インチホイールを履く。
クラッチとブレーキ、サスペンションもレース前提の強化品に置き換わっている。センターコンソールには、デジタル・ラップタイムタイマーが取り付けられた。
枯れることのないロードスター愛
「マツダから直接購入しました。エアバックを戻して、公道走行用に整備し直してあります」 とマンチーニ。カーブの続く道に囲まれたミアータランド周辺にはサーキットはないものの、オープンレースの雰囲気は充分に味わえる。荒れた路面をスキップするように弾みながら勢い良く走る。
強化されたボディシェルと硬いサスペンションのおかげで、操縦性はレーザーのように鋭い。重いクラッチの操作にはホイールスピンがセットで付いてくる。目を引くボディとホイールで仕立てたれているが、エンジンは意外にもビジネスライク。
スロットルレスポンスはM2 1001より鈍く、エンジンサウンドも単調。やはり見せ場はコーナリング。ジキルとハイド的な二面性を持つ走りっぷりが、楽しくて仕方ない。
マツダ・ロードスター(MX-5)は今年で30周年を迎え、特別仕様車もリリースされている。ロードスターへの支持者が、今も減少していないことを示している。マンチーニのロードスター愛にも、倦怠期といったものがないのだろう。
ロードスターのコレクションを保持する熱意は、今後も冷めることがないはず。奥深さと広がりを持つ、長年に渡って苦境も乗り越えてきたロードスターを、世界中の仲間と共有したいと願っている。
「日本のRSリミテッドなど、いつも新しいロードスターを探しています。本当に、いつも探しているんです」 マンチーニがさらに別のロードスターを手にする日も、そう遠くはなさそうだ。