設立100周年のシトロエン 4200台で祝う SMやDSからトラクシオンまで 前編

公開 : 2019.11.24 07:50  更新 : 2021.03.05 21:43

シトロエン・タブ・バン(1940年)

オーナー:バウウェ・デ・ブール

前輪駆動のTUBは、圧倒的な人気を誇るタイプHバンが登場する前に作られていたモデル。幅広い市場調査を行った上で1939年に発売された。だが、1941年までの間に製造された数は、わずか1747台に留まる。

そのうち民間仕様となったのは854台。残りのクルマは公的車両として多くが救急車などになったが、移動レントゲン車になったクルマもあった。

シトロエン・タブ・バン(1940年)
シトロエン・タブ・バン(1940年)

オランダ出身のオーナー、バウウェ・デ・ブールは、7年前にレントゲン車だったバンを購入した。貴重な24台の内の1台だ。「以前はドイツで使用されていたようです。車内には軍隊で用いられていたグレーの塗装が残っています。1946年に、群の払い下げ車両として精肉店が購入したようです」

「前のオーナーは1992年まで乗っていました。ボディはメタリックブルーに塗られていましたが、わたしが購入してから剥離すると、レントゲンと書かれたレタリングとマークが出てきました」

「フランスで開かれるミリタリー・イベントに持ち込むと、珍しがられ、とても注目を受けます。公道を走れる状態のタブ・バンはこの1台限りだと思われ、クルマとして残っているものも10台程度しかありません」

「うるさく乗り心地も悪く、運転は大変。フロントに4本のタンパー、リアに2本のダンパーがありますが、荷台が空だと酷いものです。少し荷物が載ると、少しマシになりますけど・・」

シトロエン2CV AZL(1955年)

オーナー:クラース・ジョンカー

ベルギーで組み立てられた2CVが存在する。特にラグジュアリーなALは特別。1954年1月に発売され、その年の後半には425ccのAZLへと置き換わった。

リアエプロンを覆うスチール製のトランクリッド、あちこちに配されているアルミ製のボディトリム、ホイールキャップなどが特徴だ。トラクシオン・アバンのテールライトが横向きに取り付けられ、アルミ製のモールが伸びている点も個性的。台形のリアウインドウは、1954年の初期からベルギー製2CVでは標準仕様となっていたもの。

シトロエン2CV AZL(1955年)
シトロエン2CV AZL(1955年)

クラース・ジョンカーの所有する1955年製2CVのボディカラーは明るいサンダスキーベージュ。フランスでは当時グレーしか選べなかったのに対し、ベルギー製2CVには設定されていた、明るめのカラーの1つ。

「わたしが住むオランダの近くの村から出てきたので、手に入れました」 と話すジョンカー。Dの形状をしたシルトリムやバンパー、ステアリングホイールの部分に溶接された横材など、特徴を教えてくれる。

ボンネットの内側にはスターティング・ハンドル用のホルダーが付いていて、ホイール・レンチも収まっている。1957年まで製造され、その後はグラスファイバー製のトランクリッドになっているから、このAZLはかなり珍しい。

1958年にはAZL3に置き換えられる。リブの入ったボンネットと、後ろヒンジのフロントドアが6ライトボディに取り付けられ、オランダ製2CVはさらに個性的な組み合わせになった。フランス製2CVがリアクォーターにガラス窓が付いて、6ライトになるのはそれから8年後だ。

続きは後編にて。

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