設立100周年のシトロエン 4200台で祝う SMやDSからトラクシオンまで 後編

公開 : 2019.11.24 16:50  更新 : 2021.03.05 21:43

世紀のシトロエン集会と呼ばれた、シトロエン誕生100周年を祝うイベントが、フランスで開かれました。英国編集部も、ラ・フェルテ・ビダムを会場に開かれた3日間のイベントへ参加。その様子を、7台の注目車両とともにご紹介します。

2019年でシトロエンは設立100周年

text:Jon Pressnell(ジョン・プレスネル)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
前編に引き続き、フランスで開かれたシトロエン設立100周年を祝った一大イベントの参加車両を、少しご紹介しよう。

シトロエン・イワノフDS(1967年)

オーナー:イワン・フィロー

「シャプロン」ではなく、「イワノフ」だと、DSクラブ・イワノフ・インターナショナルを取りまとめるイワン・フィローが、ID/DSカブリオレについて説明する。

彼のドロップヘッドボディのDSは、シャプロン製カブリオレに見えるが、どこが違うのだろうか。1967年パラスをベースに1500時間の作業を投じて作られた、精巧なレプリカなのだという。

シトロエン・イワノフDS(1967年)
シトロエン・イワノフDS(1967年)

完璧なレプリカだと強調するイワン。彼が2002年にDSクラブ・イワノフを立ち上げてから製造した40台の内の1台だ。「すべてがシャプロンの工場で作られたカブリオレと同じです」 

「オリジナルモデルが抱えていた不具合、良くない排水系統などは改善してあります。錆びた金属部分はすべて交換し、アンダーボディとフロントガラスのフレームも強化。バラしたボディは(防錆のために)、7時間を掛けて電気泳動塗装をしてあります」

イワンによれば、主な作業はポーランドで行いつつ、機械や電装系、油圧や内装などはフランスの専門家に委託しているという。DSクラブ・イワノフではカブリオレに改造するパーツリストも用意しており、5万ユーロ(600万円)で1セットが買えるという。

推計では300台の正規のシャプロン製カブリオレが作られたが、半数は既に存在していないだろう。現存車両は青天井と呼べるほど高い価格が付いている。

イワンによれば、このイワノフはまだ現実的な価格設定だと話す。イワノフDSの完成車両は12万ユーロ(1440万円)とのこと。

Bシトロエン14Gカブリオレ・ノン・デコラーブル(1928年)

オーナー:ジャン・クロード・オリンピー

戦前のシトロエンが手掛けたコーチワークの呼び方は特徴的だ。ジャン・クロード・オリンピーは、特に自身のB14Gについてそう感じている。英語にすると、クローズド・コンバーチブルとなるのだから。

彼は2年前に、納屋で眠っていたB14Gカブリオレ・ノン・デコラーブルを手に入れた。ボディの上半分に残された、オリジナルの青みがかった塗装がその痕跡を表している。発見当時の状態を保つため、ボディにはアマニ油と溶剤を混ぜたものを塗ってあるという。

Bシトロエン14Gカブリオレ・ノン・デコラーブル(1928年)
Bシトロエン14Gカブリオレ・ノン・デコラーブル(1928年)

「長い時間を生きてきた、過去の姿で残したい」 と彼は話す。クルマを手に入れた時、オリンピーに伝えられた話を信じるのなら、その過去はかなり特別なもの。

このシトロエンB14Gは、フランスのレジスタンスが夜間に爆弾を運ぶために用いていたらしい。サイドガラスは黒い合板に差し替え、小さな丸い窓が開けられていた。リアガラスも黒く塗られ、クロームメッキパーツも外すか、黒く塗られていた。

「わたしがクルマを手に入れた時、まだ黒いペンキの痕跡が残っていました。この過去が本当である可能性を否定できません」 と説明するオリンピー。

ドライビングフィールも当時のまま。「すべて予測的に運転しなければなりません。非力で丘を登るのも大変。ブレーキも弱い。田舎道を穏やかに走らせるのは最高ですけれど」

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