ライバルなき孤高のミドシップ トヨタMR2(SW20) 車格、質感ともに高まった2代目

公開 : 2019.11.16 05:50  更新 : 2021.10.11 14:52

ライバルなき孤高の立ち位置

ネオヒストリックカーの括りの中で、MR2の後に続いた国産ミドシップ・スポーツカーは決して多くはなかった。

その顔触れはホンダ・ビートNSX、そしてマツダAZ1といった軽規格かスーパースポーツかという極端なものだった。

UKトヨタのプレスフォト。標準ボディのGTとTバールーフを装備したGT T-Bar。リアクォーターウインドーと大きくカーブしたリアウインドーがミドシップ・スポーツカーの弱点である斜め後ろの視界確保に効いている。
UKトヨタのプレスフォト。標準ボディのGTとTバールーフを装備したGT T-Bar。リアクォーターウインドーと大きくカーブしたリアウインドーがミドシップ・スポーツカーの弱点である斜め後ろの視界確保に効いている。

直接的なライバルと呼べる2Lクラスのモデルが他にないことも手伝って、初代と2代目のMR2には今なお熱心なファンが多いのである。

一方、MR2以降のトヨタの歴史を見ると、特に商業的な面においてミドシップは大成しなかったように思える。

MR2の後継であるMR-S(海外ではMR2を名乗った)は、2007年にリーマンショックと同じタイミングで生産を終了。5年のブランクを経てトヨタ86がデビューし、現在はGRスープラとともにトヨタのスポーツイメージを牽引している。

MR2という車名は「ミドシップ・ランナバウト」の頭文字である。ラナバウト=安価でシンプルな小型車という本来の意味から辿れば、MR2はもう少し気軽なスポーツカーとして計画されたのかもしれない。

だがミドシップという究極のレイアウトに寄せられた期待とドライビングの難しさが、このクルマの立ち位置を困難なものにしてしまったのではないだろうか(?)。

後編では実際のドライブフィールを通し2代目MR2の実像に迫る。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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