アメリカの自動車ショー なぜ日本車の展示が急増? ワイルド・スピードの影響も大
公開 : 2019.11.19 11:30 更新 : 2021.04.12 14:51
アメリカの自動車ショー「SEMAショウ」では、近年、日本車が急増しています。急増している車種を探るとともに、なぜ増えているのかを探ります。映画「映画ワイルド・スピード」とも切っても切れない関係です。
SEMAショウ 近年、日本車の展示急増
SEMAとはSpecial Equipment Market Associationの略で、1963年に設立された自動車部用品の製造や輸入に関する業者の団体だ。
今年で54回目の開催となるSEMAショウは簡単に言うと、「アフターマーケットパーツの総合見本市」である。
東京オートサロンやエッセンモーターショー(ドイツ)と合わせて「世界3大カスタムカーショー」などと紹介されることもあるが、これは少し違う。
というのも、エッセンやオートサロンは一般来場者を対象にしたイベントだが、SEMAは業界関係者のみが入場できる「トレードショー」だからだ。
SEMAの出展範囲はすさまじく広い。カスタムやチューニングパーツだけではなく、補修用パーツや整備機器、板金修理のためのツール、フレーム修正機、シートカバーやフロアマット、ボディコーティング剤、洗車用シャンプーやミニカーに至るまでクルマに関するあらゆる展示が見られる。
筆者は90年代前半からSEMAを取材しているが、当時はデモカーのほとんどがビッグスリーのピックアップトラックかSUV、マスタングやカマロ、コルベットなどのマッスルカーが少々という構成だったと記憶している。
日本車はほとんど見かけなかった。
そして十数年ぶりに取材に訪れた2016年。日本車のデモカーや屋外展示が非常に多くなっていたことに驚いた。
もちろん、トヨタ・カムリやホンダ・アコード、カローラやシビックなどが米国乗用車市場でトップランクの販売台数を誇っていることは知っていたが。
具体的にどんな車種が増えたのか?
SEMAショウで特に増えている日本車
アメリカでは長年、根強い人気がある240Z(S30系フェアレディZ)から最新の370ZまでのフェアレディZ、90年代からのスポコン(スポーツコンパクト)ブームで中心的役割を果たしたシビック、インテグラ、CR-Xなどのホンダ車、A70/80系スープラなどはカスタム&チューニングカーの世界で一定の人気はあった。
加えて2010年前後から日産GT-R(米国では2008年7月発売)が急増。スカイラインや同GT-Rとして初めてアメリカで新車販売されることになった経緯もあって、日系パーツメーカーのみならず、米国チューナーがこぞってGT-RをベースにしたチューニングカーをSEMAに出展し始めたのだ。
GRスープラが大量出展された今年はやや数が減った印象はあったが、それでもGT-Rの人気は安定しており屋外/屋内いずれも多くの来場者が展示車両の周りを囲んでいた。
そして近年は日産スカイラインGT-R(R31/R32)、マツダRX-7(FC/FD)、トヨタスープラ(A70/80)などのパフォーマンス系から、ランドクルーザーFJ40、ダットサン510などの旧車系、意外なところでは日産パオ・フィガロ・エスカルゴなどのいわゆる「パイクカー」の姿もちらほら見かけるようになった。今年は特に新旧シビックの姿もいつになく多く見かけたように思う。
中には日産R35 GT-Rのエンジン(VR38DETT)とシャシーに1970年型マスタングのボディを合体させたり、1974年式ダットサン260Zにスープラ用2JZ GTE型を搭載したり、日本よりはるかに自由度の大きなカスタムメイドの世界でも日本車の採用ががぜん増えているのだ。