【いま注目の存在】ボルボの現在 そして未来 電動化への決意は揺るがず 後編
公開 : 2019.12.26 16:50
2010年以降、見事な復活劇を見せているボルボに注目してみました。ブランドの伝統とも言える優れた安全性はそのままに、大胆な電動化を進めるボルボでは、その比較的小さな規模を活かしたスピードで、時代を変革するパイオニアになることを目指しています。
電動化が唯一の選択肢
2040年か出来ればもう少し早いタイミングで、ボルボはEV専門のメーカーになるつもりなのだ。
そして、ボルボでは電動化以外の選択肢を考えていない。水素やさらなる内燃機関の開発は行わず、ディーゼルにはまだ役目が残されているなどと主張することもない。
カースメーカーズは、「徹底的に電動化を進めるというブランドとしての決意は、規制が理由ではありません。それがお客様にとって正しいことだと信じているからなのです」と言う。
ボルボ初のEVとなるXC40リチャージの発表は、16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリたちが主導した地球温暖化への世界的な関心の高まりとタイミングを一にしていた。
その発表会の場で、サムエルソンはどれほど世界がこの問題への対応に失敗してきたかを語る一方で、自動車業界として出来ることの可能性にも触れており、彼にとって、それはボルボというブランドの中心に持続可能性を据えることを意味している。
「われわれにとって都合がよく期待されているからだという理由で付け加える付加価値のようなものではなく、持続可能性は自動車業界にとって非常に素晴らしいことだと信じています。単なる象徴的な指針ではなく具体的な行動です」
長く環境に負荷を与える製品を作り続けてきた企業のリーダーの発言としては驚くべきものだが、サムエルソンの言葉は彼の本心から出たもののようだ。
持続可能性と環境問題
同様に、2021年以降に発売されるボルボのモデルではその最高速が180km/hに制限されると発表した時も、彼は「スピードが人命を奪うということは明らかであり、180km/h以上が必要な理由などまったくありません」と語るとともに、自動運転技術が安全性を向上させる一例としてスクールゾーンでの速度制限にも言及している(「なかには権利の侵害だと考えるひともいるでしょうから、選択と自由の制限についは慎重な検討が必要です」)。
ボルボの持続可能性と環境に対するアプローチにも同じことが当てはまる。ここでもサムエルソンは正直に、ボルボが電動化は環境負荷を低減するとともに、収益性も向上させることが出来ると話す。
「新たなテクノロジーを導入した当初は、収益性が下がるかも知れません。しかし、数年も経てば、収益性を確保するために新技術を使うことになるのです」と彼は言う。
「こうしたことは過去経験しています。時代遅れの技術にこだわっていても、利益率は低下し、収益を向上させることなど不可能です、いずれ立ち行かなくなるでしょう」
サムエルソンはこうした状況を好んでボルボの長きにわたる安全への取り組みに例えてみせる。「エアバッグの導入を始めた当初、経理担当からは収益性が悪化すると言われました」