【いま注目の存在】ボルボの現在 そして未来 電動化への決意は揺るがず 後編
公開 : 2019.12.26 16:50
時代の変革者
まさにいまボルボが進める破壊的でダイナミックな変革は、彼らの安全性向上の歴史と重なり合うものだ。
つねにボルボは単に時代の流れを追いかけるだけでなく、その信念を貫いてきた。そして、ジーリーホールディングはそんなボルボを信じ、そのために必要なリソースと裁量をボルボに与えている。
「過去にも時代の変革者だとみなされたことがありました」とサムエルソンは言う。「ですが、いま市場に対する影響力の高まりとともに、ボルボはより時代を変革するブランドだと認識されるようになっています」
そのタイミングも偶然ではあったが、電動化に向けた破壊的な流れは先行するものにメリットを与えている。
サムエルソンはライバルメーカーから登場するEVの、これまでと同じようなエンジングリルこそが、巨大メーカーが陥りがちな「固定されたマインドセット」を表していると言う。
さらに彼は、「枠にはまらない考え方を求めています。新しいテクノロジーに関して市場は平等です。だからこそ小規模メーカーにも違いをもたらすチャンスがあるのです」と話している。
「新たなテクノロジーの到来によって、一生に一度のチャンスがもたらされていることは早い段階で分かっていました。パイオニアになるつもりです」
番外編1:パフォーマンスブランド創出
ジーリー帝国におけるボルボの影響力はいまやさまざまなブランドに及んでいる。
モータースポーツ部隊だったポールスターを独立したパフォーマンスEVブランドにするとともに、ジーリーの高級ブランドであるLynk&Coともプラットフォームとテクノロジーを共有している。
スウェーデンのツーリングカー選手権以外ではほとんど知られていなかったポールスターを独立させるというのは大胆な決断と思われたが、その慎重なブランド作りの苦労はどうやら報われたようだ。
ポールスター2(写真)とXC40と同じプラットフォームを共有するホットなSUVモデルの人気が、ポールスターブランドの成功を示している。
お陰でボルボでは安全性と持続可能性というブランドのコアをなすテーマに集中することが出来るようになっている。
それでも、このふたつのブランドは依然として密接な繋がりを保っており、ポールスターのホットなSUVモデルに続いて、同じプラットフォームをベースにした同じようなサイズのボルボも登場する予定だ。
番外編2:新しい自動車購入方式
ボルボが変えようとしているのは自動車づくりだけではない。彼らは販売方法にも変革をもたらそうとしているのだ。
5年以内には、拘束条件のないサブスクリプション方式を5台に1台の割合で適用したいと考えている。
「世の中は変化し続けています」と、ボルボの新たなダイレクト・コンシューマービジネス部門を率いるレックス・カースメーカーズは話す。
「これまではディーラーに足を運んでクルマを選び、手続きを行う必要がありました。いまオンライン販売は急激に増加しており、自動車業界もこのトレンドに対応する必要があります」
カースメーカーズはこれを「予測不可能な旅」だと呼んでおり、ボルボで最近始まったCare by Volvoのようなスキームと同じく、オンラインセールスやサブスクリプション方式がどのように市場に受け入れられるか、慎重に見極めているところだと言う。
「まさにスタートアップと同じです」とカースメーカーズは話す。
「間違いなく上手く行くはずだと信じていますが、もし上手く行かなくても、別の方法を見つければ良いだけです」