M・ベンツEQC試乗 ベンツ初の市販EV、出来映えは? 価格/サイズ/内装を評価

公開 : 2019.11.19 19:40  更新 : 2021.10.11 13:51

どんな感じ?

その車名からも分かるように、ダイムラーの量産EVはアタマに“EQ”というブランド名を冠する。それに続く“C”はご想像のとおり既存のCクラス相当という車格を示す記号だ。

その次の“400”はこれまでの例でいえば、従来型ガソリンエンジンの4.0L相当の動力性能……という意味になる。

メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック
メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック

ただし、このクルマの場合、2モーターを合計したシステム出力が408ps、80kWhバッテリーによる航続距離が約400km……と、動力関連の主要スペックがことごとく400にまつわる数値にもなっている。

今回の試乗は東京・六本木にあるダイムラー日本法人のアンテナショップ“メルセデスミー東京”を拠点に撮影込みで2時間……という時間もルートも限定されたものだった。ゆえにチョイ乗りによる第一印象にすぎないことはご容赦いただきたい。

というわけで、EQCのボディサイズ(欧州参考値の全長×全幅×全高:4761×1884×1623mm)はGLCクラス比でわずかに全幅が狭く低いが実質的には同じと考えていい。室内に座っても一応インパネは専用デザインだが、見晴らしや車両感覚もGLCそのものである。

違和感ないEV

動力性能はまさにEVで、すこぶる静かながらも、踏み込めば地の底から湧き出るようなキック力を見舞ってくれる。

静粛性は優秀で、パワートレインそのものが静かな電動車ではどうしても目立ってしまうホイールハウス付近のノイズ対策も入念である。

メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック
メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック

そのパッケージレイアウトも含めてEQCは“内燃機関に慣れ親しんだドライバーに違和感のないEV”が開発テーマらしく、通常のDレンジの状態で内燃機関と同等の加減速フィールを表現したという。

ただ、実際にはその言葉からイメージするよりは小気味よく、体感的には“GLC500のSレンジ?”といったところだろうか。

現実には、より穏やかなエコモードを起動させると、内燃機関に慣れた体にはちょうどいいかもしれない。

車重2.5tの走りは?

パドル操作によって回生ブレーキの強度を調節することもできて、+パドルで回生ブレーキゼロのコースティング走行も可能になる。

逆に―パドルで回生ブレーキ最強にしても、日産BMWのような完全停止までの“ワンペダルドライブ”に踏み込まないのはダイムラーの思想である。

メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック
メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック

きれいな舗装路では2.5tのヘビーウェイトが奏功してそれなりに重厚・快適な乗り心地を示して、ステアリングやパワートレインの巧妙な制御もあって操縦性も軽快である。

しかし、路面が荒れるとドシバタしたり、きつめのコーナーになると途端にふくらみたがるなど、リアルな環境では物理的な重さを痛感させられるケースは少なくない。

それはEQCのデキうんぬん……というより、このサイズにしてこの重量のSUV型EVにはまだまだ開発の余地があるということだろう。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。
  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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