シトロエン誕生から1世紀 英国編集部の記憶に残るシトロエン 12選 後編
公開 : 2019.12.01 16:50 更新 : 2021.03.05 21:43
シトロエン・トラクシオン・アバン11BL
ジョン・プレスネル
派手さも際立った個性もないが、自動車の歴史の中で最も重要なクルマの1台。わたしは、最も美しいクルマの1台だとも考えている。手に入れるなら、控えめな11CVトラクシオン・アバンが良い。
長く幅広く、車重のかさむノルマルより、上品な11BL(レジェ)の方が好みで、低いバンパーのマールプレートと呼ばれるタイプが良い。1952年に登場するトランクが大きくなったクルマは、オリジナルデザインの優雅さがなくなっている。
このクルマを運転するのも好き。ロードホールディング性に優れ、走行性能も充分に高い。機械的な耐久性も高く、部品供給は今でも潤沢。4ドアボディの実用性も兼ね備えている。いつか迎えに行くから待っていてね。
シトロエンB2キャディ
ミック・ウォルシュ
1920年代のフランスの音楽や美術を愛するわたしにとって、シトロエン初のスポーティモデルは、昔から心惹かれる存在だった。シトロエンB2キャディだ。
1枚もののソリッドディスク・ホイールを履いていて、1452ccの4気筒エンジンはチューニングを受け22psを発生。最高速度は63km/hも出た。加えてわたしは小型ボートのようなボディデザインも気に入っている。
おしゃれな分割式フロントガラスに、ボート・テールライン。VSCC(ビンテージ・スポーツカー・クラブ)のライトウェイト・イベントに理想的なクルマだし、トラクシオンのイベントを訪れたり、友人や家族を乗せてピクニック旅行をするのにも良さそうだ。
オーディオは見えない位置に追加して、クラブジャズを流したい。英国東部、サフォークの海岸線をゆったりと流せば、シンプルなB2は幸福な時間を与えてくれるだろう。フランス・モンテリでのビンテージカーイベントで見つけたクルマのように、B2を大胆な塗装で仕上げることは遠慮したい。