凝縮されたシトロエンのキャラクター エグザンティアSX 魔法のじゅうたん、今なお崇められる

公開 : 2019.11.23 05:50  更新 : 2021.10.09 22:43

20世紀シトロエンに惹かれる理由

今日ではFF(前輪駆動車)はリーズナブル、FR(後輪駆動)は高級、スポーティといったイメージが浸透している。

だが戦前にトラクシオンアヴァン(その名も前輪駆動)という前衛的なモデルによってFFの優秀性を知らしめたシトロエンに関しては、FFこそが本筋。リーズナブルという表現は似合わない。

ルーフラインを延長し広大な荷室を確保したエグザンティア・ブレーク。前輪駆動のため、リアシートや荷室も見た目以上にゆったりとした空間が確保されている。
ルーフラインを延長し広大な荷室を確保したエグザンティア・ブレーク。前輪駆動のため、リアシートや荷室も見た目以上にゆったりとした空間が確保されている。

モノコックボディの先端にパワートレインを配し、長いホイールベースで直進安定性を確保。さらにハイドロによって極上の乗り心地を演出する。

エグザンティアを含む20世紀のシトロエンには見た目のみならず中身の部分にも確かな個性があり、それがファンの心をがっちりと掴んでいたのである。

それに比べると現在のシトロエンは少々寂しい。電子制御の複雑な足回りが全盛の昨今だがその開祖というべき同社のラインナップにハイドロはない。

今年本邦デビューしたC5エアクロスSUVには、彼らが「新時代のハイドロ」と主張するプログレッシブ・ハイドローリック・クッションを装備するが、これだってショックアブソーバーの中にセカンダリーダンパーを仕込んだもので、本質的に異なる。

今なおマニアに崇拝される「ハイドロ」とはどのようなアシだったのか?

後編ではエグザンティアSXをドライブし、そのフィーリングを再確認してみようと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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