ロードテスト マツダ3 ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.11.23 11:50  更新 : 2019.12.10 17:14

意匠と技術

新型マツダ3は、新規プラットフォームを採用して全面新設計された。先代より全長はわずかに短く、全高は低いハッチバックだが、マツダ曰くキャビンのパッケージングは改善されているとのことだ。

やや重量は増しているが、その理由については追い追い述べていこう。いっぽうで、超高張力鋼の使用比率が3%から30%に増えたことで、ボディ剛性は高まっている。

新規プラットフォームをはじめ、先代モデルから全面的に刷新された。
新規プラットフォームをはじめ、先代モデルから全面的に刷新された。    LUC LACEY

メカニカルなレイアウトは、このクラスでは一般的なもの。オールスティールのモノコックはフロントにエンジンを横置きし、前輪を駆動する。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームだ。

しかしながら、より詳細に見ていくと、すぐにわかるのがマツダらしい、斬新な発想を見出せる。たとえばシャシーでは、環状構造の補強が施されるが、これをサスペンションマウントから運転席基部への縦荷重伝達の迅速化にも使われるのだ。サスペンションは同様の成果を求めて再設計され、近年のマツダでははじめて、先代モデルよりサイドウォールの柔らかいタイヤを採用した。

ハンドリングは電子制御トルクベクタリング機構のG-ベクタリングコントロールプラスで補佐する。これはコーナリング時、ブレーキとスロットルへの介入で、気にはならない程度ながらも積極的に、前後左右の荷重をコントロールするデバイス。マツダでは「ピッチ、ロール、ヨーの以降をスムースにする」と説明する。

シートは形状を変更し、フレームの剛性を大幅に向上。ボディ各部の補強も含め、人間が歩行時に頭の位置を一定に保つような、生体運動学的にみた人体の柔軟性をより有効に使うことを狙った。これにより、直感的により快適な乗り心地を目指している。他社ではまずみられないアプローチで、実に興味深い。

英国仕様は現状、24Vマイルドハイブリッドを備えたガソリンエンジン2機種。いずれも自然吸気で、排気量は1998cc。そのうちでパワフルなほうが今回のスカイアクティブXで、火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を採用する。ディーゼルエンジンの追加は2020年中となる予定だ。

SPCCIは、圧縮着火と火花着火、双方のメリットを組み合わせ、負荷とクランク速度が高まる時点で前者と後者を切り替えることができる。リーンバーンにすれば、同程度のサイズの既存エンジンに対し2~3倍の効率向上が見込めるという。これは、16.3:1という高圧縮比や、燃焼室全体の圧縮着火の引き金となる、きわめて限定的な範囲にコントロールされた火花着火があればこそだ。

その技術を盛り込んだ2.0LスカイアクティブXエンジンは、179psと22.8kg-mを発生し、最大トルクには3000rpmで到達。ドライバビリティはダウンサイジングターボを上回るものではないが、自然吸気ユニットのアベレージには勝る。燃費は、ホイールサイズで上下するが、WLTP混合モードの代表値で18.2km/Lと、もう1機種のガソリンユニットであるスカイアクティブGより13%ほど改善。CO2排出量は17%ほど低減している。

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