ダイハツ・ロッキー新型/トヨタ・ライズに試乗 新型CVT「D-CVT」が好印象 日常〜レジャーをカバー

公開 : 2019.11.25 10:50  更新 : 2021.10.11 13:51

新型CVT「D-CVT」、とにかく優秀

軽量の車体と高効率の新型CVT「D-CVT」を組み合わせがもたらした動力性能は車格から想像する以上に活発だ。発進加速などはダッシュを利かせすぎの印象さえある。

発進時ほどではないが、巡航からの加速も軽快である。巡航エンジン回転数は1500-2000rpmに抑えられ、緩加速への移行では500rpmくらいのダウンシフト、つまり2000-2500rpmに高めて間を置くことなく加速し始める。

ロッキー/ライズを1名乗車から4名乗車まで試したが、意外なほどドライブフィールが変わらないと筆者(川島茂夫)。
ロッキー/ライズを1名乗車から4名乗車まで試したが、意外なほどドライブフィールが変わらないと筆者(川島茂夫)。

巡航速度と求める加速でダウンシフト時の回転上昇は異なるが、高速域の急加速でもなければ4000rpmを超えないで済ます。

また、CVTとしては加速中の車速とエンジン回転数の一致感に優れるが、ステップ変速に比べるとエンジン回転数上昇が少なく、速度上昇に合わせて連続的にアップシフトさせて線形特性に近づけているのも特徴。軽乗用で培ってきたCVT変速制御のノウハウを実感。

興味深いのは乗車人数とドライバビリティだ。1名乗車から4名乗車まで試したが、意外なほどドライブフィールが変わらない。

負担重量の変化は車重の2割に当たる約200kg。相応にアクセルの踏み込み量は増えているはずなのだが、変速タイミングや使用回転域が大きく変わらないため、余裕を感じてしまう。

もちろん、踏み代の残りは減っているので、全開加速への影響は大きいが、全開で加速しなければならない状況はそうはない。

軽量車なのに車載重量の変化をあまり感じさせないのはフットワークも同様だ。そしてFFも4WDも基本特性や乗り味は大きく変わらなかった。

街乗り、硬め 高速/山岳路では安心感

直近のタントや他のダイハツ車の傾向から柔らかいサスセッティングを予想していたのだが、ワインディングのハイアベ走行も苦にならない硬めのチューン。

初期ロール等の動き出しは緩いのだが、すぐにぎゅっと踏ん張り始める。けっこう大きな横Gを掛けたコーナリングでもロール角は上手く抑えられている。

走行性能に不満はないが、レジャー用途で長距離適性が気になるなら、上級グレード限定になってもACCとLKAを装着した仕様を選択すべきと筆者。
走行性能に不満はないが、レジャー用途で長距離適性が気になるなら、上級グレード限定になってもACCとLKAを装着した仕様を選択すべきと筆者。

ストローク速度の抑制も利いているので揺れ返しも少なく、コーナリング中の加減速や路面うねりによる方向性の乱れも少ない。

中立付近の復帰反力の立ち上がりがしっかりしているので高速直進時のステアリング保持も良好。バネを捻るよう感じがちょっと古臭く思えたが、直進維持に神経質にならないで済むのはささやかな長所。

タウンユース向けにはもっとソフトな乗り味でも良さそうだが、4名乗車における高速や山岳路での安心感を考えると悪くない。不安感を催す挙動を抑えてながら、乗り味から荒っぽさをなくしているのが妙味である。

なお、次世代スマアシとして全車速型ACCと走行ライン制御型LKA(レーン・キープ・アシスト)をG/プレミアム(ライズZ)を標準装着する。

ACCには停車保持機能がなく、制御精度も最新トヨタ・セーフティセンスに比べると劣るのだが、スモールクラスでは運転支援機能はトップクラス。

走行性能に不満はないが、レジャー用途で長距離適性が気になるなら、上級グレード限定になってもACCとLKAを装着した仕様を選択すべきだろう。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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