映画ワイルド・スピードのスカイラインGT-R(BNR34)、なぜ右ハンドルだったのか?
公開 : 2019.11.30 06:00
11月30日は、映画「ワイルド・スピード」のオコナー刑事を演じる、俳優ポール・ウォーカーの命日です。映画にでていたスカイラインGT-R(BNR34)は、なぜ右ハンドルだったのでしょうか? 調べました。
映画ワイルド・スピード、どんな日本車が登場?
「ワイルド・スピード」は邦題のシリーズ名で、原題は「The Fast and the Furious」である。1〜4作目まではとくに多数の日本車が登場する。登場したクルマをいくつか挙げてみよう。
1作目(2001年)「ワイルド・スピード」
・エクリプス
・80スープラ
・GT-R(R34)
・240SX
・インテグラ
・S2000
・シビック
・シビッククーペ
など多数。
2作目(2003年)「X2」
・GT-R(R34)
・ランエボ
・エクリプス
・S2000
・NSX
・インテグラ
・シビック
・アコード他
3作目(2006年)「X3 TOKYO DRIFT」
・Z33
・S15シルビア
・RX-7(FD)
・RX-8
・ランエボ他
4作目(2009年)「MAX」
・GT-R(R33/R34)
・240SX
・RX-7(FC)
・AE86他多数
1作目は90年代に西海岸で大流行したホンダ車や240SX、エクリプスなどを中心とするスポコン車からの流れで日本車が多数登場した。
スープラ復活の立役者とされるオレンジ色の80スープラも1作目に登場している。
そして、そのスープラに乗るオコナー刑事を演じる、俳優ポール・ウォーカーが事故死したのは2013年11月30日だった。間もなく亡くなってから丸6年となる。
ポールは幼い頃から、クルマ好きの父親と共にクルマを改造するなどして育ち、俳優として成功を収めてからもクルマ好きは止まらず、自宅に20台以上の高級車を保管するガレージを所有していたことでも知られる。
そんなポールが特に愛したのが日産スカイラインR34GT-RとトヨタA80スープラだ。いずれも、劇中にポールの愛車そのものが登場している。
「Furious7」(スカイミッション)でのラストシーンに登場した白い80スープラに涙した人も多かっただろう。筆者もその1人である。
R34、25年ルール適用には早すぎる
オコナー刑事が劇中で乗るR34はワイルド・スピードX2とMAXに登場する。いずれも日本仕様の右ハンドルだ。
というのも、スカイラインGT-Rシリーズは、35GT-R以前は歴代モデル含めアメリカを含む海外では販売がされなかった。
つまり、左ハンドル仕様が作られなかったのである。
前述した80スープラは初代A50/60スープラ(日本ではセリカXXとして販売)から最新のGRスープラまで米国で販売されて来ているので左ハンドルが存在する。
それなのに、なぜ映画に出てきたR34、ポール自身が所有したR34は右ハンドルだったのか?
北米には15/25(カナダ15年、アメリカ25年)年ルールなるものが存在する。
簡単に言うと、製造から15/25年経過したクルマはクラシックカーのカテゴリーとなり、米国の保安基準FMVSSに定められた諸々の保安基準に関わらず、米国での輸入販売登録が可能となる。
つまり、右ハンドル車であってもアメリカでの登録が可能となる。
ただし、25年ルールをクリアしてもカリフォルニア州の排ガス規制などのように、州ごとの規制をクリアしなくてはならない場合もある。(カリフォルニアの排ガス規制はトランプ大統領の方針によって撤廃される可能性が高いが……)
しかし、映画に登場するスカイラインGT-R(BNR34)は1999年以降の製造である。
25年ルールは月単位(1994年11月製造の車両なら2019年11月1日から25年ルール適用となる)で確認されるため、詳細な製造月まではわからなくても、最初が1999年なら25年ルールが適用されるのは早くても2024年となる。
現時点でも25年ルールが適用されるにはまだまだある。