ロードテスト キア・Xシード ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.11.30 11:50 更新 : 2021.03.05 21:36
走り ★★★★★★☆☆☆☆
Xシードの1.4T-GDiは、パフォーマンスや魅惑的な要素より、洗練性やマナーを重視したエンジンという印象だ。低負荷の場面ではすばらしく上品で、低回転からのピックアップでは4気筒らしい唸りがやや気になる程度だ。
低中速の実用的なトルクの広がりは、スムースでそこそこ速い走りを可能にする。スロットルレスポンスもそれなりに鋭い。しかし、この好ましい領域を外れるにつれ、パワートレインの欠点が露呈し始める。
これは、回して楽しいエンジンではない。4500rpmを超えると、かなり息切れしたところを見せる。そうではあっても、フルスロットルでは、DCTがシフトアップを急がないので、レッドライン近くまで回転を引っ張る。
このことが、かえって息切れ感を長引かせ、4気筒の鼻にかかるような唸りを続かせるので、いくらエンジンが回っても心惹かれはしないのだ。
このトランスミッションは、追い越し時にも扱いにくさをみせる。ペダルを踏み込むと、そこそこ勢いよくシフトダウンするのだが、もっとも素早い加速をするにはどのギアを使うか決めるまでに、しばしばいくつかのギアを試そうとするようなところが見受けられる。
結果、湿ったコースでの計測では、48−113km/h加速が8.7秒、0-97km/h加速が9.3秒。0-97km/hは公称値の9.2秒に迫るが、48-113km/hは一般的なハッチバックにだいぶ遅れる。
わずかにパワーで勝るフォルクスワーゲン・ゴルフ1.5TSIエヴォは、2017年の計測で、48-113km/hは8.1秒をマークした。0-97km/hに至ってはコンマ5秒近く早い。これと同じエンジンは、ライバルのTロックにも積まれている。
加えて、ブレーキのペダルフィールが一定ではない。わずかなのだが、フラストレーションの種となるものだ。フィールは曖昧ではっきりしないが、踏んでいくと突然効きすぎる。それが問題になるのは、飛ばしているときより、むしろ低速走行時だ。