今あらためて試乗 ジャガー・ヴァンデンプラスH.E.(XJ6サルーン) 時代こえる英国テイスト

公開 : 2019.12.01 05:50  更新 : 2021.10.09 22:43

旧き佳き英国がそこにある

例えヒストリックカーであっても、ヒタヒタと乗り心地良く走り、エアコンもちゃんと効いてくれれば、現代のアシとしても通用する。宮廣さんがずっとこれ1台で全ての用事をこなしているというのも納得がいく。

「たまに調子を崩すこともありますが、エンジンやミッションはとても丈夫なので、安心して乗れます。燃費はリッター3kmとかなので、ガソリン代は大変ですけど」と宮廣さん。

リアからの眺めが初代XJサルーンのシルエットを最も美しく見せる。トランクルームも深さはないが、奥行きはたっぷりとあるのでフルサイズ4ドアセダンの名に恥じない。燃料タンクは左右分割で、給油口も2つある。
リアからの眺めが初代XJサルーンのシルエットを最も美しく見せる。トランクルームも深さはないが、奥行きはたっぷりとあるのでフルサイズ4ドアセダンの名に恥じない。燃料タンクは左右分割で、給油口も2つある。

20世紀のジャガーは信頼性に難ありと言われることも多いが、そこには個体差やオーナーの扱い方、メンテナンス・ガレージの腕も関係してくるのかもしれない。

ジャガー・デザイン中興の祖であるイアン・カラムが手掛け、初代XJのデザインから完全脱却を図った現行XJのスタイリングはすばらしい。

とはいえ初代XJサルーンの見た目と走りの雰囲気を愛するファンに、現代のジャガー・デザインを浸透させるのは難しいことなのかもしれない。

波打つようなボンネットに朝日を映しながら高速道路をひた走るXJ。視線の先にはジャガーのマスコット、リーピングキャットが輝いている。

獲物に飛び掛かるジャガーを表現したこのマスコットを生み出したのは、オートカーのデザインにも関わっていた彫刻家のゴードン・クロスビー。

深く知るほど、初代XJは旧き佳き英国で満たされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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