【白熱のレースに期待】F1新レギュレーション 2021年から適用開始 前編
公開 : 2019.12.22 11:50
テクニカル・レギュレーション:パフォーマンス差の減少
2019年にはフロントウイングの形状をよりシンプルにすることで、オーバーテイクの回数を増やそうとしたものの、効果を発揮することはできなかった。
「より白熱したレース展開を可能にするマシンが求められています。バトルという点に関して、いまの車両は落第です」と、2021年シーズンに向けたレギュレーション発表の場でブラウンは話している。
「マシン同士の能力差が縮まれば、他車とのバトルがより熾烈なものになるという結果が出ています」
「過去数年間における変化というのは、新たにF1の運営権を取得したリバティ・メディアがこの問題を認識し、F1とFIAが一体となっていまわれわれが直面する課題を克服すべく、必要なリソースと資金を提供し始めたことにあります。より魅力的で白熱したバトルを展開することの出来るマシンにしたいと考えています」
F1が公開した風洞実験モデルとイメージ画像からは、18インチのホイールを履いたよりモダンで魅力的なマシンであることが見て取れる。
「マシンの最終形態をよりシンプルなものにするとともに、パフォーマンスにおける能力差をより少なくするため、ある面では安定性を向上させたいと考えていました」とトンバジスは言う。
「こうした空力性能に関するレギュレーションによって、現在よりも各マシンのパフォーマンスの差を縮めるということがわれわれの狙いです」
テクニカル・レギュレーション:グラウンド・エフェクト・カー
「基本的にはグラウンド・エフェクト・カーの考え方です。サイドポッドのフロント部分から始まった長いディフューザーが車体下部を通過して、そのままリア端部へと続きます。これはわれわれが目指す空気の流れを実現するために必要不可欠な要素です」
「それほど多くではありませんが、マシンのいくつかの部分は予め形状が規定されることになります。ホイール周辺の空気の流れをコントロールするというのは非常に微妙なために、もし形状を制限しなければ、今回のルール変更の趣旨に添わない、規制の抜け穴のような方法を見つけ出すチームが出て来るからです」
夏の間、チームの技術責任者たちはこの空力デザインにおける明らかな規制案に対して、すべてのマシンが同じような見た目になるとして明確に反対していた。
「ダラーラのマシンを全員が買うようなものです」と、レッドブルでデザイントップを務める、かのエイドリアン・ニューイーは憤慨していた。
テクニカル・レギュレーション:一定の自由度
それでも、デザイナーには依然として一定の自由度が残されているとトンバジスは主張する。「それぞれのマシンが異なるルックスを維持できるだけの余地は十分残されていると考えています」と彼は話す。
「ノーズやフロントウイング、エンジンインテーク、サイドポッドのインレット、さらにはサイドポッドそのもののシェイプやリアウイングといった部分です。パフォーマンスやスタイリングに違いを創り出すことは十分可能です」
燃料システムなどにおける標準パーツや共用部品の採用によって、2021年からのテクニカル・レギュレーションではコスト問題にも対応している。
だが、当初案よりその範囲は減少したものの、ギアボックスの内部パーツやブレーキといった部分について、各チームは入札で決められたサードパーティー製コンポーネントの採用義務化に反対している。
基本的にハイブリッドパワーユニットに関しては、最低重量規制とコスト問題に対応するためのいくつかの材料使用制限を除いて変更はないが、2021年シーズンからは合成燃料の含有割合がこれまでの2倍の20%へと引き上げられる予定だ。
ひとつ非常に残念な決定は、18インチホイールと標準部品の採用によって、車両最低重量が743kgから768kgへと引き上げられたことだろう。