【白熱のレースに期待】F1新レギュレーション 2021年から適用開始 後編
公開 : 2019.12.22 18:50
ファイナンシャル・レギュレーション:運用が課題
「残念ながら、いまはこうした紳士協定が通用する時代ではなく、それが失敗の原因となっていたのです。今回のルールには実効性があります。もし故意にファイナンシャル・レギュレーションに違反した場合、タイトルが剥奪されることになります。つまり、結果は重大だということです」
コスト規制に対しては、つねにその実効性に対する批判が付きまとってきた。自動車メーカー傘下のチームが、親会社に研究開発の一部をアウトソーシングした場合など、トップチームが行っていることのすべてを監視することなど本当に可能だろうか?
確かにこうした点は依然として懸念事項ではある。だが、今回のルール作りには、かつてホンダとブラウンGP、さらにはメルセデスで財政トップを務めたナイジェル・カーをはじめ、非常に優秀な人材が関わっている。
「FIAとF1には財政に関する素晴らしいエキスパートたちがいます」とブラウンは言う。「さらには外部からの協力も得ています。スポーツの財政問題に関する専門家集団のひとつがデロイトであり、彼らにはフットボール界における大きな実績があります。前向きな効果が見られるはずです」
「素晴らしいアイデアがもたらされていますが、すべてのレギュレーションがそうであるように、それを実効性のあるものにしていく必要があります」
「もちろん、こうしたルールを実際に運用する際にはさまざまな難題に直面することも理解していますが、F1をより良くするためには、財政面の規律とともに、F1で使われるコストをわれわれ自身がコントロールするということが必要不可欠なのです」
各チームの反応
すでに述べとおり、テクニカル・レギュレーションに関しては、新たなエアロダイナミクスに関するルールの導入を阻み、現状を維持したいと願うトップチームからの反発に直面している。
それでも、多少の妥協は受け入れたものの、基本的な部分はそのままに、この新たなルールを導入することに成功している。
「まだまだやるべきことは数多く残っています」と、フェラーリでチーム代表を務めるマッティア・ビノットは話す。
「だからこそ、まだすべてが決まったとは言いたくないのです。まだスタートラインに立ったところです。レギュレーションに応じた改良に向け、関係者全員が協力する必要がありますが、まだ多くが手つかずの状態です」
誰も口にはしないが、問題はコスト規制が導入されるのは2021年シーズンからだということであり、それまでであれば、各チームはコストの制限を受けることなく、新ルールに適合したより速いマシンを開発することが出来る。
既存の風洞とCFDが使用出来なくなることは、それなりにフェラーリ、メルセデスとレッドブルの3強に影響を及ぼすことになるだろうが、資金力がものを言う範囲はまだ多く残されており、彼らは2021年シーズンも全力を挙げて開発作業に取り組むだろう。
「われわれのようにより多くのリソースを有するチームは、2021年シーズンに入ってもその資金力の恩恵を受けることになるだろうという主張もあります」と、レッドブルのチーム代表、クリスチャン・ホーナーは話している。
「ですが、間違いないのは大きなレギュレーション変更によって、恩恵を受けるチームとそうでないチームが出るということであり、もちろん、誰もがルール改正の恩恵を受ける側に回りたいと考えているはずです」