【奥深きミニカーの世界】手に入れるべきは好きなモデル 値上がり、期待は禁物
公開 : 2019.12.07 06:00 更新 : 2022.09.26 14:35
ジェームス・ボンドのDB5
ちなみに、最初に登場したバットモービルはブラック・ファースト・イシューではなく、サタン・ブラック・ファースト・イシューというモデルだ。
だが、このモデルはコーギー社があまりにも仕上がりが酷いと判断したために、もっと美しい仕上げを与えられたモデルに交換すべく、販売直後に市場から回収されている。
もし見つけ出すことが出来ればだが、ハーレーによると状態の良いサタン・ブラック・ファースト・イシューの価格は1000ポンド(14万1300円)にも達すると言う。
Collect-a-Toyのプライスガイドでは、最近のバットモービルの価格動向も確認することができる。
ブラック・エディション・イシューの場合、A+のコンディションを維持した個体の価格は2008年の450ポンドを底値に、一旦2013年には1000ポンドまで上昇したあと、2019年の現時点では538ポンド(7万6000円)にまで下落している。
ハーレーの店にあるもっとも安いモデルともっとも高価なモデルの間に位置するのが、子供時代の憧れだったコーギーNo.261のジェームス・ボンド・アストン マーティンDB5だ。
ボンドシリーズ3作目となるゴールドフィンガーの公開に合わせ1965年に発売され、マシンガンと防弾シールド、そしてなによりも重要な、パッセンジャーを助手席ごと空高く打ち上げることの出来るポップアップ式ルーフを備え、子供たちのあいだで大人気となったモデルであり、いまではコンディション良好でオリジナルの箱が残っている個体が高く評価されている。
お気に入りはコーギー
ハーレーの店では、箱と取扱い説明書、ふたり分のフィギュアと、重要なポップアップ式ルーフが未使用のこのモデルを250ポンド(3万5300円)で販売しているが、Collect-a-Toyのプライスガイドでは502ポンド(7万1000円)と表示されているのだから、お買い得と言えるだろう。
このアストン マーティンDB5の最高値は575ポンドというものであり、バットモービルほどの高騰を見せることはなかったが、それは販売当時大ヒットしたことで、いまでも市場に多数のコンディション良好な個体が供給されているということが理由だろう。
「1960年代というのはミニカーの黄金時代でした」とハーレーは言う。「モデルとなった実際の車両はさらに魅力的で、映画やテレビとのタイアップによって市場が拡大するとともに、ひとびとの懐にも余裕がありました」
マッチボックスとディンキー、そしてコーギーの間での競争が激しかった時代だ。いまもそれぞれのブランドには熱心なファンが存在しているが、個人的には素晴らしい仕上がりとディテールが魅力だったコーギーがお気に入りであり、コレクターのブルックも同じ意見だ。
「コーギーがお気に入りブランドです」と彼は言う。「見事なプロポーションで、カラーもより鮮やかでした。それに、ミニカーにウインドウをと導入したのも彼らが初めてだったのです。実際、コーギーのスローガンは『ウインドウ付きミニカー!』というものでした」