【PHEV版登場】 DS 7クロスバック Eテンス 環境性能も走行性能も最良のDS
公開 : 2019.12.07 09:50 更新 : 2022.04.23 12:04
乗り心地やステアリングも要改善
もう一つ、乗り心地も気になった。DS 7クロスバックは以前から柔らか気味の乗り心地で、評価できるものではなかった。今回のEテンスでは、2基のモーターとバッテリーが追加されたことで400kgも車重は増加。良い影響は及ぼしていない。
高速走行時は増加した質量により、上下動をサスペンションがうまく抑えきれない様子。特に波打ったような路面では、振動が増幅される傾向にある。
減衰力は本来望まれるものほど煮詰められておらず、鋭い入力があると車内にそれを伝えてしまう。荒れた路面では、ロードノイズも小さくはない。
コーナリングでは明確にボディロールが発生し、フロントタイヤのグリップ力は不足気味。ステアリングの反応は鈍い反面、操舵感はとても軽いから、コミュニケーションも取りにくい。カーブの続く道を自信を持って走らせる、という気持ちにはなりにくい。
アウディQ5の場合はグリップ力は高く、明瞭で機敏なステアリング設定が、軽くない車重を補ってくれている。
インテリアデザインは、アウディとは一線を画す明確なアイデンティティを備えている。だがこちらでも、素材の上質さや組み立て品質では、定評のあるアウディには及ばない。
試乗車にはパノラミック・サンルーフが装備されており、ヘッドルームが広々とはいえなかったが、足元の空間は悪くない。荷室容量は555Lあり、アウディQ5の395Lと比較するとだいぶ大きく感じられる。
量産までの解決に期待
量産前の現段階で、DS 7クロスバックEテンスを多くの読者にオススメすることは、少々気が引ける。同じプラグイン・ハイブリッドを搭載するSUVとして、アウディQ5 TFSIeの方が多くの面で優れている。数歩先をゆく感じだ。
価格を比較すると、ややDS 7の方が手頃ではある。最も人気となるであろうトリムグレードのパフォーマンスラインの場合、英国では4万7725ポンド(668万円)。一方で299psのアウディQ5 TFSIeは、4万9735ポンド(696万円)からとなっている。
ただし今回の試乗車は、トップグレードのウルトラ・プレステージ。価格は5万6075ポンド(785万円)と、少々受け入れがたい金額だった。
2025年までに、DSはすべてのモデルを電動化技術を搭載したものにすると表明している。今後量産までに細かな調整を受け、上質さを高めることを期待したい。英国での試乗までに、まだ解決するべき項目は少なくなさそうだ。
DS 7クロスバックEテンス・ウルトラ・プレステージのスペック
価格:5万6075ポンド(785万円)
全長:4573mm
全幅:1906mm
全高:1625mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.9秒
燃費:83.2km/L(WLTP)
CO2排出量:33g/km(WLTP)
乾燥重量:1825kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボ+ツインモーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps(システム総合)
最大トルク:45.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック