【韓国発EV】ヒュンダイ・アイオニック・エレクトリックに試乗 バッテリー増量で312km
公開 : 2019.12.08 09:50 更新 : 2021.03.05 21:37
マイナーチェンジでバッテリーの容量が増え、エネルギー効率も向上した、アイオニック・エレクトリック。航続距離が伸びたことで、訴求力も高くなったヒュンダイ製のEVを、英国で評価しました。
エネルギー効率を高め高速距離を伸延
ヒュンダイ・アイオニック・エレクトリックは、ライバルとなるトヨタ・プリウスPHEVより一歩先ゆく、純EVとしてゼロ・エミッションでの走行を実現している。
今回マイナーチェンジを受け、バッテリーの容量が28kWhから38kWhへと大型化。電動モーターの効率も向上させ、航続距離は30%長い312kmとなった。
他にもいくつか細かい改良を受けているが、そのほとんどはエネルギー効率を高め航続距離を伸ばすことに充てられている。見た目でわかりやすいのはフロントグリルのデザイン。大きくなり全面がシルバーに塗られ、冷却効率を高めるアクティブ・エアフラップが装備された。
バッテリー容量が大きくなっただけでなく、充電システムもアップデートされ、完了までの時間も短縮されている。50kWの充電容量の充電器なら、57分で空の状態から80%の容量まで蓄えられる。7kWの充電器でも6時間で満充電にすることが可能だという。
インテリアの変更も目につくところ。これまでダッシュボードに埋め込まれていたモニターは10.25インチへと大きくなり、大きく張り出す形でレイアウト。
インフォテイメント・システムのOSも新しくなり、新機能も追加。スイッチ類のデザインも新しくなり、バックライトが埋め込まれている。
適度に活発な走りで運転しやすい
試乗したのは気温の低い日で、アイオニックが提示した航続距離は275km。だが実際はそれより長く走れることが分かった。日常的な通勤に最適なだけでなく、ドライブでの小旅行にも充分使える。
走行性能の印象は元気が良いと呼べるもの。ヒュンダイ・コナ・エレクトリックほど手に負えない活発さではない。両車ともに最大トルクは40.1kg-mだが、コナの方が203psとパワフル。アイオニック・エレクトリックは135psだ。
アイオニックのモーター制御は良好で、すべての速度域で運転がしやすい。スタートダッシュはシャープだから、都市での交通の流れを余裕でリードできる。高速道路での走行も非常に滑らかで落ち着いている。
しかもパワーの立ち上がりは、コナ・エレクトリックのように強力過ぎないのが美点。うっかり意識せずにアクセルを踏んでも、ホイールスピンを発生させることも殆どないだろう。
ハイブリッドモデルのアイオニックのリアサスペンションには、マルチリンク式が採用されている。しかしエレクトリックの方は、バッテリーの積載空間を確保するためにトーションビーム式となっている。
そのため乗り心地が犠牲になっており、最良とは呼べないレベル。滑らかな路面なら悪くないが、低速域では揺れが大きい。このサスペンションは操縦性にも影響を及ぼしている。ダイナミクス性能の面での輝きは鈍り、走り味はありふれたものになっている。