【戦後の高級サルーンを遺す】ベントレーとアームストロング・シドレー 後編
公開 : 2019.12.15 18:50 更新 : 2020.12.08 10:56
確かなオーナーへ受け渡したい
自動車での移動時間を短くし、疲れを減らす洗練性のために、お金を投じられる人のためのクルマ。当時の多くの人が体験したことのない、スピードと上品さを叶えていた。今では比較にならないほど、平均的なクルマと一線を隠す優位性を備えていた。
近年両車は高い評価額が付くようになっている。プレス加工されたスチール・スタンダードボディは錆びるという悪い評判もあったが、ベントレーの残存台数は多い。アームストロング・シドレーは珍しい存在ながら、優れた愛好者クラブとスペアパーツの供給体制で、しっかり支えられている。
この2台を、オーナーのヒューズから手放す気持ちにさせる値段は、市場の評価とは別のところにある。どちらも積極的に売るつもりはないという。確かなオーナーかどうか、ヒューズが直接確認したいと考えているからだ。
最近、ベントレーの購入を申し出た人には長距離ラリーへ参加する意思があり、ヒューズは契約を断ったという。ラリーへ参加可能なベントレーが多く残っている中で、極めて状態の良いクルマを出場させる考えは賛同できるものではない。
恐らく現存する中で最も走行距離が短く、状態の良いアームストロング・シドレー・サファイア346の行く先にも憂慮しているという。
この手の英国製サルーンの希少性は高まる一方。特に新車同様の状態を持つクラシックカーは、保存する必要性の注目度も高くなっている。次世代へ受け渡す準備は、われわれにできているのだろうか。
2台のスペック
アームストロング・シドレー 3.4/346(1953年〜1959年)のスペック
価格:新車時 1728ポンド(24万円)/現在 1万9000ポンド(266万円)以下
生産台数:7680台
全長:4902mm
全幅:1830mm
全高:1600mm
最高速度:146km/h
0-96km/h加速:15.5秒(マニュアル)
燃費:6.0-7.0km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1575kg
パワートレイン:直列6気筒3453cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:126ps/4200rpm
最大トルク:24.4kg-m/2000rpm
ギアボックス:4速オートマティック/プリセレクター/マニュアル
ベントレーMkVI(1946年〜1952年)のスペック
価格:新車時 2997ポンド(42万円)/現在 4万ポンド(560万円)以下
生産台数:5201台
全長:4864mm
全幅:1753mm
全高:1638mm
最高速度:160km/h
0-96km/h加速:15.2秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1793kg
パワートレイン:直列6気筒4257cc(1951年からは4566cc)
使用燃料:ガソリン
最高出力:−
最大トルク:−
ギアボックス:4速マニュアル/4速オートマティック