【まさかの1900ps超え】ピニンファリーナ・バティスタ パフォーマンスEVの革新? 答えは2020年に 後編

公開 : 2019.12.08 18:50

1927psものパワーと235kg-mのトルクという途轍もないスペックで登場する予定のバティスタですが、このクルマの魅力はそのスペックだけではないようです。フォーミュラEマシンを凌ぐ加速力と、ブガッティほどの高級さを併せ持つこのクルマの真の姿に迫ります。

目指すはグランドツアラー

このモノコックは四輪駆動ドライブトレインとともに、ポルシェが株主となっているクロアチアの新興メーカー、リマック社から供給されるが、彼らのコンセプト・ツーは、よりサーキット向きのセッティングが採用されていることを除けば、その中味はバティスタと非常に強い技術的な繋がりを持っている。

それでも、最新の情報によれば、よりソフトなサスペンションスプリングと、初期設定では35対65というリア優勢のトルク配分を採用するバティスタは、可能な限り滑らかな乗り心地を実現したグランドツアラーを志向しているようだ。

ピニンファリーナ・バティスタ
ピニンファリーナ・バティスタ

そのミッドエンジンのボディシェイプと、驚くほどの速さにもかかわらず、バティスタにはなにか優雅な雰囲気が感じられるのであり、ニュルブルクリンクのレコードラップ争いに関してウォルマンは「パフォーマンスと冷却の問題から、バティスタが参戦することはない」と話している。

「われわれの目的はタイムアタック用マシンを創り出すことではありません。これは明らかです」と、ニック・ハイドフェルドもウォルマンに同意する。この元F1パイロットはバティスタの動力性能に関するアドバイスを行っており、カラファト・サーキットでは興味深い話を聞かせてくれた。

興味深い見解 答えは来年

「これまで運転したなかで最高のステアリングを備えていたのはマクラーレン570Sでした」と彼は言う。570Sほどの豊かなフィールを目指すのと実現することは別だということはハイドフェルドも理解しているが、それでもこれはそれだけの価値のある目標だ。

フロントに搭載されたモーターを休止して、リア輪だけを駆動するモードを選べば、新たなドライビング体験を体験することになるが、この状態でもバティスタは1217psものパワーを発揮している。

ボディワークの改良によって、WLTP基準での航続距離は451kmから499kmへと延長されている。349km/hでの全開走行時における航続距離は97kmとされており、理論的にはオックスフォードからオックスフォード・サーカスまで約15分で辿り着くことができる。
ボディワークの改良によって、WLTP基準での航続距離は451kmから499kmへと延長されている。349km/hでの全開走行時における航続距離は97kmとされており、理論的にはオックスフォードからオックスフォード・サーカスまで約15分で辿り着くことができる。

まさにこれがハイドフェルドがどうしても実現したいと考えているバティスタのキャラクターだが、ウォルマンはその理由が理解出来ないと話す。もし、ステアリングがフルロックの状態になく、タイヤにはまだグリップが残っているのだとすれば、それ以上パワーがあってもさらなる加速や機敏さを得ることは出来ないというのだ。

まさに興味深い見解であり、さらに、トルクベクタリングや回生ブレーキシステム、そしてロードカーとしては空前絶後のパフォーマンスを破綻することなくまとめなければならないという複雑さが、バティスタ開発の過程ではさまざまな苦難をもたらすことになるだろう。

それでも、このクルマがまったく新たなEVのドライバーズカーなのか、単なるスペック上の怪物に過ぎないのか、来年にはその答えが明らかとなる。

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