【まさかの1900ps超え】ピニンファリーナ・バティスタ パフォーマンスEVの革新? 答えは2020年に 後編
公開 : 2019.12.08 18:50
番外編1:フォーミュラEが練習台?
例えそれがSF90ストラダーレだったとしても、フェラーリがこのクルマを予約した未来のオーナーに、実際のF1マシンを運転させることなどないだろうが、マヒンドラの子会社となったことで、ピニンファリーナでは実際にそうした機会の提供が可能になっている。
確かに、ホットハッチ程度までパワーを落とした第1世代のフォーミュラEと聞けば、913psを誇るハイブリッドパワートレインを積んだF1マシンよりは、担当者の心労も多少は軽減されるかも知れないが、それでもFIAのシングルシーターとしては頂点に君臨するマシンのステアリングを握るなど、間違いなく貴重な機会でしかない。
では、実際にはどんな感じだろう? 簡単に言えば、驚くほど純粋な体験だ。
パワーステアリングやトラクションコントロール、さらにはアンチロックブレーキなど持たず、極端にロック・トゥ・ロックの少ないステアリングと公道仕様のタイヤによってトルクがドライバーを圧倒し、簡単にスピンしてしまう。
さらに、エンジンサウンドが聞こえないことで、こうしたキャラクターがさらに顕著なものとなっている。
内燃機関を積んだクルマであれば、リアタイヤがグリップを失えば、タイヤの空転に伴いエンジン回転が一気に上昇するサウンドが聞こえてくる。
ドライバーはこうしたエンジン音の変化によってマシンの状況を感知することができるのだが、2018年仕様のマヒンドラM4エレクトロや、その他すべてのフォーミュラEマシンでこうしたサウンドを聞くことは出来ないのだ。
われわれのカラファト・サーキットでの短時間の走行もそうだったが、すべてのフォーミュラEレースでは習慣としてピットでタイヤウォーマーが使用されることはなく、マシンの取扱いには細心の注意が求められる。
マーケティング面を除けば、フォーミュラEとバティスタの関連はそれほどなく、バッテリーマネジメントシステムとエアロダイナミクスがその主な共通点だ。
結局のところ、バティスタのほうがより速く、複雑で、より優れた能力を備えたマシンだと言うことだろう。
番外編2:先駆者たち
メルセデスSLS AMGエレクトリックドライブ
いまでは0-100km/h加速3.9秒というタイムを聞いてもまったく驚かないが、2013年当時、このクルマは史上最速の量産EVだった。
各輪に設置されたモーターによって見事なダイナミクス性能を誇るとともに、瞬時のトルク配分の可能性を証明することにも成功していた。
リマック・コンセプト・ツー
クロアチアが誇るパイオニア、リマック社がバティスタのベースを提供しており、このクルマにはバッテリーパックを構造部材として一体化させた同じカーボンファーバー製モノコックが採用されている。
この巨大なモノコックはサスペンション用サブフレームが必要ないように設計されている。
ピニンファリーナ・セルジオ
ピニンファリーナ自身がスタイリングを担当したフェラーリ458イタリアをベースに、2013年、セルジオは現代の美しさを表現するために生み出された。
確かに4.5L自然吸気V8エンジンは失われたかも知れないが、新型バティスタにもセルジオと同じような巨大なグリルが設けられている。