【ロードテスト】ルノー・クリオ ★★★★★★★★★☆
公開 : 2019.12.07 11:50 更新 : 2020.01.05 23:02
走り ★★★★★★★★☆☆
機能面に見られるこれまでにない洗練性は、乗ってみても感じ取れる。3気筒ターボが旧式の898ccユニットではなく新型の999ccユニットとなったのは、ドライな技術的変化と思える。しかし、それによって、洗練性やドライバビリティ、経済性に関しても新たな高みに達することを可能にしたのも事実だ。
パフォーマンスそのものは、傑出したものではない。新型エンジンを積んでさえ、ガソリンモデルの中間機種は、昨年テストした95psの1.0L版ポロより0−97km/h加速で1秒ほど遅れる。それでも、11.6秒というタイムは立派。2017年の日産マイクラIG−Tよりは0.5秒ほど速く、30−70km/hの追い越し加速ではほぼ1秒の差をつけている。
主観的に見れば、褒めるべき点はたくさんある。このエンジン、始動時もアイドリングでも静かで、3気筒としてはマナーがいい。スロットルペダルは調整具合がよく、フィーリングは直感的で、スムースな走りに貢献する。
走り出しても、うれしくなるくらい落ち着きを失わないこの1.0Lターボは、旧式の0.9Lユニットよりスロットルレスポンスに優れる。2000〜3500rpmで高まるトルクは極めて有効で、高速道路の速度域で高いギアを用いたときの走りも実に堂々たるもの。25年前のBセグメントでは考えられなかった話だ。
しかし、これが最新の小排気量ターボの実力だ。驚くには値しないかもしれない。いっぽうでエンジン回転が上がると、活発さや回りたがる感じでフォードのエコブーストの最小版となる3気筒には一歩譲る。とはいえクリオも、5000rpmを超えるようなときに元気な走りを嫌うわけではない。
このエンジンの寛容なドライバビリティは、MTが5速しかないことのデメリットをまず感じさせない。シフトのクオリティという点でも、手応えが適度にあり、変速操作のタッチは明確。クラッチペダルも同じく扱いやすく、すぐに馴染める。