【都市から郊外へ】フォルクスワーゲンe-Up! 航続距離260km マイナーチェンジ

公開 : 2019.12.11 09:50

効果的なワンペダル運転も可能

e-Up!のような都市部での利用を前提としたコンパクトカーは、EVとしてのメリットを得やすい。変速のことも気にせずに済むから、ガソリンモデルより運転しやすく感じる。走行音も静かで、混雑した路地を走る際も周囲に気を払いやすい。

発進加速はテスラ並みに鋭く、アクセルペダルの操作とモーターのパワー感は違和感がなく丁度いい。踏んだぶんだけ直線的に力が増すから、限られた電力を完全にコントロールすることができるように思える。

フォルクスワーゲンe-Up!
フォルクスワーゲンe-Up!

ブレーキペダルを踏むと、機械的なブレーキとエネルギーの回生とをシームレスに制御してくれる。シフトノブをスライドさせれば、慣れれば効果的なワンペダル運転も可能で、航続距離をさらに伸ばせる。

今回の試乗の前半では、ワンペダル運転で45kmほどを走行したが、実際に消費した電力は26kmぶんだった。エネルギーを節約しようという労力も、ほとんど必要ない。

残りのクルマの仕上りは好印象のまま。市街地を低速で走らせるのに充分なしなやかさを備えつつ、コーナリングで気を使うほど柔らかいわけでもない。全般的に乗り心地はとても良い。

今回の試乗はスペインのバレンシア地方となったが、滑らかな路面では運転も楽しめた。ただし、車重が増えたことで、ESPが介入する前の横方向へ掛かる荷重は増えている。

フォルクスワーゲンらしい上質さ

高速道路の速度域では、コンパクトカーなりの防音処理と小さくない風切り音の存在で、スピードを実感させられるが、他に音の立つ場所がないから仕方ないところ。Up!はフォルクスワーゲンのエントリーモデルではあるものの、質感やデザインの仕上りなどは、格上のモデルに準じて優れている。

英国での価格はまだ明らかにはなっていないが、フォルクスワーゲンによればマイナーチェンジ前のe-Up!と大きく違わないとのこと。英国への導入は2020年1月の予定となっている。

フォルクスワーゲンe-Up!
フォルクスワーゲンe-Up!

200kmを超える実際的な航続距離を備えたe-Up!は、実用性やパフォーマンスはそのままに、現実的に郊外にまで足を伸ばせるクルマとなった。都市部から一歩世界が広がった。

いまのところ、EVが日常的な自動車利用の条件に適合するかどうか、購入時に検討する必要は残っている。しかし条件さえ合えば、フォルクスワーゲンe-Up!ほどに確かな品質を備えたコンパクトEVは、現在のところそう多くはない。

フォルクスワーゲンe-Up!のスペック

価格:未定
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:128km/h
0-100km/h加速:11.4秒
航続距離:260km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1160kg
パワートレイン:交流同期モーター1基
バッテリー:36.8kWhリチウムイオン
最高出力:83ps
最大トルク:21.5kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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