【シトロエンらしさの復活】なぜ好調? 100周年、愛すべき現行モデル シトロエンC3

公開 : 2019.12.10 06:10  更新 : 2022.02.24 19:27

内装 フランスのエスプリ

インテリア・デザインもシトロエンらしさにあふれていて、ファブリックや色遣いに見られるフランスならではのセンスが心地よい。

ドライバーズシートもゆったりとして、優しい感触は往年のモデルを思わせるものだった。リアシートもシトロエンらしく充分なスペースが確保されていて、4人乗車でロングランも楽にこなせる空間が嬉しい。

全高1495mmというトールデザインのためヘッドスペースは十分。内装の色遣いやちょっとした部分の造形もシトロエンらしい。
全高1495mmというトールデザインのためヘッドスペースは十分。内装の色遣いやちょっとした部分の造形もシトロエンらしい。

キャビンに収まってご機嫌になったところでエンジンを始動。気になっていた3気筒ユニットはエンジン音の違和感もなく、逆に合理性を突き詰めるシトロエンにふさわしく感じられた。

走り出して真っ先に感じたのが80年代までのシトロエンの乗り味が蘇っていたことだ。ただ柔らかいというわけではなく、腰がありながら路面からの衝撃を包み込む感触というもので、まったりとした優しいフィーリングの復活に感激してしまった。

1.2Lのベーシックカーだけに速さは求めないが、小排気量モデルらしくちゃんと回してやればキビキビ走るのも昔と変わらず、しっかりとした正確なステアリングも健在。

速度を上げてゆくとサイズを感じさせないフラットな乗り心地になり、シトロエン・コンフォートを満喫できる仕上がりだった。

粋を取り戻したC3

今のクルマはワールドワイドに向けて開発されるだけに、昔ほどお国柄やメーカーの個性が出にくくなっているが、シトロエンC3ではあえてらしさを前面に出していて好ましく感じられた。

わたしを含めた旧いシトロエン・ファンには、違和感のない1台となろう。もし手にするのなら、バイト―ン・ルーフが選べるシャインで、ブランバンキーズ(白)にルージュ(赤)ルーフの組み合わせがおしゃれで本命だろうが、フランス車らしさを求めるとアーモンド・グリーンやサーブルも捨てがたい。

ラゲッジスペースは定員乗車時で300Lを確保。分割可倒式のバックレストを倒せば大物も楽々飲み込む。
ラゲッジスペースは定員乗車時で300Lを確保。分割可倒式のバックレストを倒せば大物も楽々飲み込む。

うーん、悩ましい。こうした選択をできるのもシトロエンならではの楽しみといえよう。

シトロエンC3はBセグメントの中でベストバイであるとともに、昔からのシトロエン・ファンにとっても満足度の高い1台となるに違いない。

往年のほっこりさと最新テクノロジーが融合した快適さとエスプリを備える、ピュアな「シトロエン」らしさを感じ取れよう。

シトロエンC3シャイン スペック

価格:250万6000円
パワートレイン:1199cc直3ターボ
ステアリング:右
全長:3995mm
全幅:1750mm
全高:1495mm
ホイールベース:2535mm
車両重量:1160kg
最高出力:110ps/5500rpm
最大トルク:20.9kg-m/1500rpm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:9.8秒
燃料タンク容量:45L
燃費(JC08):18.7km/L

ブランバンキーズ(白)の外装色にルージュアデン(赤)の組み合わせがフランスらしい。リアクウォーターの塗り分けもお洒落。
ブランバンキーズ(白)の外装色にルージュアデン(赤)の組み合わせがフランスらしい。リアクウォーターの塗り分けもお洒落。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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