【軸は4輪駆動の機能性】スバル・フォレスター eボクサー英国試乗 マイルドHV

公開 : 2019.12.13 09:50

標準装備は充実。舗装路で水を差すCVT

英国仕様の標準装備は充実。アダプティブLEDヘッドライトを備え、タッチモニター式のインフォテインメント・システムにはスマートフォンとのミラーリング機能付き。アダプティブ・クルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキなどを含む、スバル自慢のアイサイトも標準で付いてくる。

サンルーフにナビゲーション、レザー内装、パワーゲールゲートが必要なら、英国では3000ポンド(42万円)を上乗せして、プレミアム・トリムグレードを選択することになる。

スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック
スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック

加速感や路面を問わない操縦性の良さ、燃費など、オンロード性能に関してはフォレスターとしての期待通り。メカニズムの洗練度はわずかに良くなっている。

ハイブリッドを小型でシンプルなものに留めたという選択は、コストを抑えると同時に、フォレスターの実利主義的な面を保ったとも捉えられる。組み合わされるトランスミッションがCVTで、少し水を指しているけれど。

低速度域から緩やかにアクセルを踏んでいくと、速度を乗せるには深めにペダルを踏む必要があることがわかる。同時に、CVTのクルマとして近年では珍しいほど、エンジンが空回りする。

速度が80km/hを超えてくると、ハイブリッドの支援はほとんど効果を感じられなくなる。ガソリンエンジンとCVTのパフォーマンスやレスポンスも、やや期待はずれ。高速道路の追い越しなどでは、必要なパワーを得るまでに数秒のタメを感じてしまう。

郊外の道に出ると、鋭い加速時のCVTのゴムバンド的と呼ばれる鈍さを回避するために、最善を尽くていることがわかる。しかし、穏やかな操作に対して実際にクルマが応えるまでの「間」は明確に残っている。

ディーゼルを超える経済性は得にくい

スバルによるハイブリッド技術が、運転体験に大きな貢献をしていない点も残念。仮に電圧48Vによるスターター・ジェネレーター方式なら納得できる。しかし、実際はCVT側に統合された、よりパワフルなモーターを搭載しているのだ。

混雑した都市部での走行でもエンジンは長時間停止していられず、電気モーターで走行できるのは、ほんの少しアクセルペダルに触れている時程度。ゼロ・エミッションで市街地を走れるSUVとして期待すると、フォレスターには裏切られることになる。

スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック
スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック

現実環境での燃費は決して悪いものではないが、ストロングポイントとは呼びにくい。様々な走行パターンを交えて試乗した今回、トリップコンピューターの燃費は12.7km/Lから14.8km/L程度だった。ディーゼルエンジンを搭載する同クラスのSUVの経済性を超えることは難しい。

乗り心地や操縦性も充分に評価できるが、目立って良いわけでもない。ドライバーが得られる満足度も、かつてのスバルの輝きには至っていない。決して不愉快になることはないにしろ。

サスペンションは英国の道ではほどほどの柔軟性を保ち、中低速域での衝撃の吸収性も良好。試乗コースを特に高速で走らせようとすると、やや姿勢制御に節度を欠き、快適性へ影響を与えることはあった。

ステアリングのレシオは中程度。直感的なハンドリングを備え、このサイズのクルマとして考えれば正確性や機敏性は良い方だといえるだろう。

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