【2019年もっとも運転の楽しいクルマを決定(3)】ダカールレーサーやケイマンも得点伸ばせず ドライバーズカー選手権2019
公開 : 2019.12.30 18:50
クルマを理解尽くした人が設計したモデル
2015年、素晴らしいエンジンを搭載したケイマンGT4だが、優勝は逃した。2019年のポルシェ718ケイマンGT4には自然吸気の4.0Lフラット6を搭載し、発する高音域のサウンドも近い。
マニュアル・トランスミッションを搭載し、ボールジョイントされるリア・サスペンションからはタイヤからの振動音が増幅されて聞こえてくる。スノードニア国立公園の道での走りはすこぶる良い。
ミドシップの軽量ボディに控えめなサイズ。最新のポルシェ・ケイマンGT4は、甘美なまでに正確なステアリングフィール、時には驚かさせるほどの繊細さに、ひたひたとしたフロントの安定性が重なる。「なんて惹き込まれるクルマなんだろう」 とアンドリュー・フランケルが感嘆する。
「シフトフィールは秀逸。ステアリングはレシオも良く、ステアリングホイールのサイズや一貫性も素晴らしいらしい。本当にクルマを理解した人が設計し、デザインしたものだと伝わってきますね」
サイモン・デイビスも完璧なパッケージングに触れながら、強く同調する。マツダ・ロードスターのようにペダルレイアウトは理想的ではないけれど。
わたし、リチャード・レーンとしてはタイヤ4本でGT4の質量が完璧に分配されているような感覚がとても新鮮だった。ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤのサイズも熟考され選ばれている点も大きい。
グリップやサウンドで一歩及ばず
マクラーレン600LTスパイダーを除いて、ジュニア・ポルシェはこの中で最も優れたロードカーだと思う。だが600LTはクーペで昨年のBBDC選手権の勝利を挙げている。今年もベスト3に選ばれて然るべき。
これほど素晴らしいのに、ポルシェ718ケイマンGT4がベスト3に勝ち残れなかったことに驚く。審査員たちもケイマンが順当に勝ち残ることを期待していたようだが、実際は異なった。
ハンドリング・デイと呼ばれるだけあって、サーキットでのラップタイムの速さはBBDC選手権では重要視されない。それでも、ツインターボで加給され、より重く、控えめに思えるタイヤサイズの911カレラSと競わせると、理由も見えてくる。
ケイマンGT4はミドシップ・レイアウトを生かした、フロントタイヤのグリップ力を充分に発揮できていない。特にコーナー入り口や中程で実感させられる。
加えて新しいエンジンは悪くないのだが、トルクがやや細く、サウンド面でも刺激が足りない。ポルシェは2速も発進ギアだとみなしているようだが、レシオの幅が広すぎる印象。結果として、評価は伸びなかった。
ルノー・メガーヌRSトロフィーRも、ケイマンGT4と近い運命をたどる。電子制御の悪影響を指摘する審査員もいたが、挙動の予測が難しく、仕上げきれていない、カーボン製ホイールを履いたマシンだった。
ルノー・メガーヌRSとランボルギーニ・ウラカン・エボ、ダラーラ・ストラダーレ、トヨタGRスープラ、メルセデスAMGの評価は(4)にて。