【2019年もっとも運転の楽しいクルマを決定(4)】ランボやメルセデスAMGを超える3台 ドライバーズカー選手権2019
公開 : 2020.01.02 18:50 更新 : 2021.03.05 18:45
サーキットでのみ味わえる本領
そんなランボルギーニがランクを上げることより、50年に渡る歴史を持つエンジニア集団が、初めてのロードカーを生み出すことの方が難しかったはず。ダラーラ・ストラダーレは、カーボンファイバー製モノコックに、カーボンファイバー製のボディ、ダブルウイッシュボーン・サスを持つ。
一昔前のプロトタイプレーサーのようなボディに、最新技術が盛り込まれた、サーキット前提のスポーツカー。かなりの金額が付いているが、一切の妥協はなく、その登場には大きなインパクトがあった。
アンドリュー・フランケルがいうように、サーキットでは他のクルマでは真似ができない走りをする。極めて正確で情報量の濃いステアリングフィールと、実感できるダウンフォースのおかげで、高速コーナーではゆるぎのない安定性を叶えている。
しかし、その高評価は長くは続かなかった。一般道ではブレーキの倍力装置が強く効きすぎ、ロボタイズド・マニュアルが走りの足かせになっている。審査員の心を掴むことはできなかった。
マット・ソーンダースは、「サーキットで本領を発揮できる特別なクルマです。運転しやすくバランスも良い。ドライバーへ伝わる感覚も豊富で奥行きも深く、速く走れます。しかし、一般道では異なりますね」
BBDC選手権がサーキットでの評価で決められるのなら、ダラーラ・ストラダーレはベスト3へ選ばれただろう。最速のラップタイムを叩き出し、誰の記憶にも残るような鮮烈なドライビングを体験させてくれた。だが一般道での得点も合わせると6位どまり。
AMG GTとスープラの長所と短所
トヨタGRスープラもメルセデスAMG GT 63も、ドリフトが大好きな2台。毎日のクルマとしても使え、ちょっとお行儀の悪いことも、目に余るような悪ふざけもできる。
特にメルセデスAMG GT 63は、電子制御技術の見本市のようだ。巨大なボディをひと回り小さく感じさせ、人工的な不自然さが殆どない。そこに荒々しい4.0L V8ツインターボ・エンジンが至福の娯楽を付け加えている。サスペンションも、一般道では非の打ち所のない完璧な仕上りだ。
体格のいい家族向けマッスルカーの中でも、最も優れた代表格といえるクルマではある。しかし、2045kgという車重が災いし、得点は伸びなかった。
トヨタGRスープラは、限界領域を超えても素晴らしいバランスを実現し、パワートレインもたくましい。しかしステアリングフィールの欠如と、活気のない進路変更の性格付けが、優れた点を打ち消している。
どのクルマも非常に優れているのだが、最後まで残れるのは白眉の3台のみ。ケイマンGT4も、手頃で夢中になれる楽しさのマツダ・ロードスターも、一般道での道徳的な範囲では優勝を狙えても、総合評価では少し及ばない。
最後に残ったのは、ポルシェ911カレラS PDKとマクラーレン600LTスパイダー、アリエル・アトム4というラインナップ。さて、これまで4世代目のアリエル・アトムには殆ど触れていない。どんな結果となるのだろうか。
マクラーレン600LTとポルシェ911カレラS、アリエル・アトム4によるベスト3の戦いは(5)にて。