【シトロエン=ふわふわ】イメージの正体は 伊デザインとハイドロ技術の融合 BXを振り返る

公開 : 2019.12.14 05:50  更新 : 2021.10.09 22:41

埋もれないシトロエンの個性

シトロエンBXが登場したのは1983年。

排ガス規制やオイルショックの影響もあって自動車にとってあまり良い時期とは言えなかった70年代が終わり、新たな時代がはじまろうとしていた時期だった。

グループBラリーカーの4TC。フロントボディを延長し、横置きだったエンジンを縦置きにした高性能モデル。200台が作られたとされているが現存は30台程度と言われている。
グループBラリーカーの4TC。フロントボディを延長し、横置きだったエンジンを縦置きにした高性能モデル。200台が作られたとされているが現存は30台程度と言われている。

フランス国内を見渡してみると、ルノーはBXを手掛けた描けた後すぐにベルトーネから独立したガンディーニを独占し、シュペール・サンクや旗艦の25の開発を急いでいた。

一方プジョーはピニンファリーナと組んで205をデビューさせ、これからまさに勢いに乗ろうという時期だった。

デザイン上の変革期を迎えた80年代のフランス車だが、シトロエンはその流れの中でも自らの個性を見失っていない。

リアタイヤが半分隠れるハーフスカートや、BXの前期型に採用されたボビンメーター、1本スポークのステアリング、そしてハイドロによる他の何物にも似ない乗り心地等々である。

またBXはボディパネルに樹脂素材を多用することで軽量化を徹底したことで、900kg台後半から1tちょっとという、現代では考えられないほどの軽量化も実現していたのである。

興味のない人から見ればシトロエンBXは古くて近寄りがたい1台に過ぎない。

だがこのクルマを構造から追っていくと、エポックメイキングな部分も少なくないのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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