【マカン・ターボやX3 M40iへ挑む】アウディRS Q3へ試乗 399psの5気筒ターボ
公開 : 2019.12.15 11:20
ドライビングモードに変更可能なRSを追加
5気筒ターボは、ターボらしい目立ったパワーの山は持たない。そのかわり回転域を問わず力強く、7000rpmのレッドラインめがけて滑らかに吹け上がる。
クワトロは最大で85%のトルクをリアタイヤへ伝えることを許すが、コーナリングスピードを上げても常に落ち着いた振る舞いを見せる。それでも400psを引き出すのに不足ない、より高価なポルシェ・マカン・ターボに負けないトラクションを発揮している。
ただし、7速ATはスポーツモードを選んでいない限り、キックダウンを少しためらう傾向がある。すべてのパワーをタイヤへ届けるまでに、若干の間が空いてしまう。追い越し加速で鋭いレスポンスが必要な時は、ステアリングホイールに付いたシフトパドルを弾くのが良い。
ドライビングモードにはカスタマイズが可能な2つのRSモードが追加された。呼び出しはステアリングホイールに配されたボタン一つでできる。日常的な穏やかな走りから、最大パフォーマスンスでの走りへもボタン一つで切り替えが可能だ。
しかし、サスペンションは常に最もコンフォートな状態にしておきたい。ダイナミックモードを選ぶと硬さが目だち、よほど滑らかな路面でない限り道路の維持管理が悪く感じられてしまうだろう。
都市部での速度域では上質さも感じられ、硬いスプリングを持つ一部のライバルモデルより乗り心地は良い。それでも快適性よりも、ハンドリングの良さに焦点を当てた設定となっている。
ルックスの良さか、わずかに上の実用性か
インテリアでQ3との違いを感じさせるのが、下辺が平らになったステアリングホイールと、スポーツシート。10.1インチのインフォテインメント用モニターに、12.3インチのバーチャルコクピットと呼ばれるモニター式デジタルメーターは、Q3と共通。
バーチャルコクピットにはRS仕様として、エンジンの回転数やスピードなどの情報が右側上部へ表示されるようになっている。技術的にはクラスリーダーの水準にある。
車内の素材感はライバルの方が良いかもしれない。標準のQ3にも用いられている安価なプラスティック製パーツが、比較的簡単に目に付いてしまう。5万ポンド(700万円)もするクルマとしては少々残念だ。
RS Q3を選ぶかRS Q3スポーツバックを選ぶかは、リアシートのヘッドルームにできる5cmほどの余裕と、リアシートを折り畳んだ荷室容量の100L差をどう考えるかだろう。筆者としては、ルックスで勝るRS Q3スポーツバックの方が、価格で近似しているのなら選択肢の上位に来る。
ただし標準のアウディQ3のままでも、充分にクラスをリードできるプレミアム・コンパクトSUVだと思う。たとえ突出したパフォーマスンスを備えていないとしても。
アウディRS Q3フォーシュプルングのスペック
価格:5万2450ポンド(1298万円)
全長:4484mm(標準Q3)
全幅:1856mm(標準Q3)
全高:1585mm(標準Q3)
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:9.8km/L
CO2排出量:203g/km
乾燥重量:1715kg
パワートレイン:直列4気筒2480ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:399ps/5850-7000rpm
最大トルク:48.8kg-m/1950-5850rpm
ギアボックス:7速オートマティック