【地味な1980年代のセダン】プジョーとフィアット、クライスラー 前編
公開 : 2019.12.22 07:50 更新 : 2020.12.08 10:56
羊の皮をかぶった狼より長距離クルーザー
エンジンはパワフルな1995ccを搭載し、ダッシュボードも一新。パワーステアリングにフロントガラスのサンバイザー、パワーウインドウなどを装備している。これらは、上級志向のクルマにはすでに不可欠な装備だった。
自動車ファンにとってフィアット132の最も大きなニュースは、1979年に登場した限定仕様のベリーニ。クロモドラ製アルミホイールにスライディングルーフ、上質な茶色のチェック柄クロスで仕立てられたシートなどが目印だ。
その後、基本的には同じ内容ながら、4角型のヘッドライトを備えたフィアット・アルジェンタの登場に合わせて1981年で132は終了。アルジェンタは1985年に終了となるが、スーパーチャージャーで過給し、134psを獲得したボルメックス・エディションを発表している。
今の英国では、132シリーズを目にすることも珍しい。ニコルソンは過小評価されてきたイタリアン・サルーンを長年愛している。「父が1970年代に乗っていたんです。わたしは大学生の時に、明るいオレンジ色の132を買いました」
今回の132ベリーニのボディは漆黒で、特に存在感が強い。トリノに黒いペンキが余っていたんでしょう、とニコルソンは笑う。その走りは、郊外のワインバーまで飛ばすのに相応しい。
当時フィアットは「羊の皮をかぶった狼」と表現するのを好んだが、132はどちらかといえば長距離クルーザー。特にオプションのATが組み合わされると、その印象が強い。アルファ・ロメオ・アルフェッタのようなスポーツサルーンとは異なるものだ。
フィアット132ベリーニの続きと、プジョー504GLについては後編にて。