ロードテスト MG ZS ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2019.12.14 11:50 更新 : 2020.01.06 01:34
結論 ★★★★★★☆☆☆☆
思うに、MGがZS EVを2010年代に発売していたなら、一目置かれる存在になっていたはずだ。どう見ても、これはかなり手頃な価格で、実用性にも秀でたEVだ。パワートレインのパフォーマンスもドライバビリティも十分納得できるレベルにある。
しかし、現在の安価なEVとしては、やや出遅れた印象だ。現実的な使い方で180km程度の航続距離は最大の障害で、同じような価格帯のライバルに少なからぬ差をつけられている。
乗り心地は、ときとして締まりのないところを見せる。元気のないハンドリングや、しばしばイラ立ちを覚える安全デバイスも加わるとあっては、好意的には受け止められないだろう。
MGは、安さ重視のユーザーを新規開拓することはできるかもしれない。とはいえ、実用面の限界ゆえに、EV市場の成長につれてすぐに時代遅れなものとなってしまうはずだ。
ZS EVには、今のところは価格面での競争力がある。だが、それを維持するには、もっと長い航続距離が必要だろう。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
トランスミッショントンネル上に配したロッカースイッチは、エネルギー回生のセッティング調整をするのに、ひと揃いのパドルと同じくらい使えなくてはならないのに、そういうわけにはいかなかった。一度入れたモードのまま変更しないで終わることが多いのだ。
ステアリングホイール周りにパドルタイプのスイッチがあれば、きついコーナーでダウンシフトをするように操作して、エンジンブレーキの効きを強くすることができるのだが。
サイモン・デイヴィス
NVHに見られる奇妙な点は、ボディ剛性に怪しいところがあるのを示唆している。一般的なコーナリング程度の負荷がかかってもきしみ音が発生したが、新車でそんな経験をしたことはこれまでなかった。
オプション追加のアドバイス
もっともコストパフォーマンスがいいのは、より安価なエキサイト仕様だ。はっきりいって、エクスクルーシブ仕様に装備される多数のアクティブセーフティデバイスは、手に入れる価値のないものばかり。シートヒーターも選択できないのだけはつらいが。
改善してほしいポイント
・アクティブセーフティシステムの選別を。
・航続距離が足りない。転がり抵抗の削減も必要だが、バッテリー容量の拡大こそが急務だ。
・回生ブレーキの改善と再調整を。スイッチオフも、さらに強い回生も可能にするべきだ。またブレーキペダルも、実際のブレーキとの協調がもっとしやすくないと困る。