ロードテスト MG ZS ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2019.12.14 11:50  更新 : 2020.01.06 01:34

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

MG ZSは、スタイリッシュなクロスオーバースタイルにした弊害の見当たらないクルマだ。外観はとくに大きくはないのだが、いくつかのライバルを凌ぐキャビンの広さを備える。

大人4人が比較的快適に過ごせる、十分以上の広さがある室内は、同乗者と意図せぬ接触を強いられることはない。後席レッグルームの実測値は730mmと立派なもので、ヘッドルームも910mm確保されている。

キャビンはこのクラスでは広い方だが、質感や組み付け精度は高くない。
キャビンはこのクラスでは広い方だが、質感や組み付け精度は高くない。    Max Edleston

これは広さが足りないとヒュンダイ・コナと比較して、前者は70mm上回るが、後者は10mm届かないといった数値。逆に広かったeニロには、ほんのわずか及ばない程度だ。

荷室は、このクラスの水準に照らせば上々だ。通常時の容量は、ZSの標準モデルより22L多い470Lで、キアを19L、ヒュンダイを138Lも上回っている。

高さを変えられる荷室フロアは、その下に充電ケーブルを収められる小さな収納スペースが備わる。また、左右ホイールアーチの後方には、それぞれ収納に役立つ窪みが設けられる。キャビンにも、便利なストレージが用意されている。

純粋な実用性に関しては、このMGは強みを見せるが、ヴィジュアルや手触りといった質感では、とてもクラスのベンチマークになれるものではない。

一見すると、艶のあるブラックとクローム風の仕上げを組み合わせたプラスティックの表面処理は魅力的なのだが、しっかりと観察すると、装備類や組み付けには、とくにソリッドさが感じられないのだ。

MGのインテリアトリムのほとんどは、十分きれいに仕上げられているように見えるが、きしみ音を排除できてはいない。しかも、スイッチ類の多くはタッチがあまりよくない。

たしかに、ドライバーの手が届く範囲内の生産管理はおおむねよくできているが、どうにも硬くプラスティッキーな作りはヒュンダイやキアのレベルに達していない。ちなみに、それらの比較対象はいずれも、質感面でこのクラスのベンチマークになれるようなものではない。

この明らかなチープさも、価格を考えれば看過できる部分がある。しかし、すべて許せるというわけではない。

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