【長期テスト】ベントレー・ベンテイガ(最終回) 最上級のクルマでの暮らし
公開 : 2019.12.21 10:50
ラグジュアリー大型SUVのベントレー・ベンテイガとのカーライフとはどんなものなのでしょう。英国編集部で編集長を務めるスティーブ・クロップリーが、19万ポンド(2660万円)のクルマとの日常を振り返ります。
もくじ
ー積算2万2289km(最終回) レンジローバーを超えるのか
ー静かで滑らかな大排気量W12気筒エンジン
ー都市部では扱いに手を焼くほどの全幅
ー平均燃費は7.4km/L。少し足りない航続距離
ー2時間ちょっとの点検で支払った11万円
ーテストデータ
積算2万2289km(最終回) レンジローバーを超えるのか
ベントレーから大型SUVのベントレーが登場すると聞いた時、名声を失墜させるクルマとならないためには、最低でもレンジローバーを超える必要があると考えた。
英国を代表するランドローバー・レンジローバーは、40年以上の歴史を持ち、モデルも4世代目へと突入している。価格は上位グレードなら6桁ポンド(1400万円)を超える。SUVを手掛けたことのないブランドから生まれたクルマは、ライバルとなる中身を備えることができるのか。
ランドローバーもベントレーも、お互いをライバル視していることは認めていない。ベントレーとしては、レンジローバーよりさらに高価格帯を狙っていることを強調していた。ベンテイガは15万ポンド(2100万円)からの価格帯なのに対し、レンジローバーは10万ポンド(1400万円)前後。
レンジローバーは走破性の高さやモデルの歴史、堅牢性の面で真のライバルはいないと主張している。だが、実際は比較されるべき2台だ。
少しアドバンテージがあったのはベントレーの方。2012年に発表されたオフローダーのコンセプトモデル、EXP 9Fのスタイリングは批判も多く、大きな修正を加えることとなった。
2013年にハンサムな4代目レンジローバーが登場すると、一層風当たりは強くなった。加えて最高のパフォーマンスと機能性をもたせる必要がある。
静かで滑らかな大排気量W12気筒エンジン
結果、ベントレーは成し遂げた。2015年に登場したベンテイガは、608psのW12気筒エンジンを搭載し、われわれの試乗テストで90点を獲得。その後のディーゼルモデルは満点を与えるのに不足ない仕上がりだった。
ベントレーはレンジローバーとは異なる、独自性の強いクルマだった。だがロードテストがすべてというわけでもない。
例えばレンジローバーは所有期間が長くなるほど、クルマの温もりを強く感じられるようになる。レンジローバーのオーナーが、次もまたレンジローバーを選ぶ理由でもある。
圧倒的なゴージャス感を狙ったベンテイガに、同じような気持ちが湧くのだろうか。長期テストで確かめたいと考えたポイントでもある。
長期テスト車両としてやって来たベンテイガは、W12気筒エンジンで、ボディカラーはサンダーと呼ばれる色。実際は明るいチャコールグレーだ。走行距離は1000km以下で、慣らし運転も含めてクルマを楽しむことができた。
5950ccのエンジンは数千km程度まで走り込むほどに、回転が徐々になめらかになり、燃費も少し良くなっていった。車内はとても美しい。明るい色味で車内は晴れやかだが、アイボリーは汚れが目立つほど白いわけでもない。
発進時の加速は強力。W12気筒エンジンは以前の経験では、やや出だしのトルクが細く、上質さもどこか足りないイメージを持っていた。ところが大々的な再設計を受け、ベンテイガのW12エンジンは、ノイズを聞き取れないほど静かで滑らかなユニットになっていた。