【長期テスト】ベントレー・ベンテイガ(最終回) 最上級のクルマでの暮らし

公開 : 2019.12.21 10:50

都市部では扱いに手を焼くほどの全幅

圧倒的な加速力を引き出したときだけ、マフラーからエグゾーストノートが響き、エンジンから上質な吸気音がさえずる程度。殆どの場合、ベンテイガは無音に近い。右足や左手で操作をしても、たとえスポーツモードであっても、知覚できないほど静かになめらかだった。

ベンテイガのボディは大きいとはいえ、全長は5140mmで、例外的に大きいわけでもない。ただ全幅はかなり広く、縦列駐車のロットには収まらない。ロンドンのコンクリート・ジャングルには少し不釣り合い。

ベントレー・ベンテイガ
ベントレー・ベンテイガ

筆者は乗り初めの頃、コベントリーの駐車場の入口でダイヤモンド・カットの高価なホイールにガリ傷を付けてしまった。反省。それからはとても注意して運転するようになった。でも、ヒヤッとすることは何度もあった。

もしこれからベンテイガをガレージに、と考えている人は、日常的に走るルートを確認しておいた方が良い。筆者の会社の駐車場にも収まらず、別の人と場所を交換することになってしまった。

ベンテイガのようなクルマの場合、友人や隣人の些細な反応も重要。ドライバーだけでなく、家族や同乗者の反応も数年後に改めて選ぶかどうかの判断材料になる。

「一体なんていうクルマを買ったの?」 という反応をしたのは数名の友人。経験的に、周囲の意見はそれなりの理由がある場合が多い。こんな大きなクルマを一体誰が運転できるのか、と疑問を持つ人もいた。堂々としたボディを見たら当然だ。ベンテイガが美しいと話す人は殆どいなかった。

平均燃費は7.4km/L。少し足りない航続距離

見た目は記憶に残るほど力強い、という反応が中心。ベントレーのデザイナーが新しい水準を打ち立てた、と話すほどに上質なインテリアを見ると、その印象は更に強くなった。

余裕のある車内空間、贅沢な素材、高い着座位置。そこへ操作系の上質な手応えと計器類の眺めが、ベンテイガに乗る度に特別な気分へと持ち上げてくれた。

ベントレー・ベンテイガ
ベントレー・ベンテイガ

燃費はいつも7.0km/Lを下回ることはなかった。608psのエンジンと2.5tのボディを持つクルマとしては、悪くない数字だと思う。最高速度は300km/h、0-96km/h加速4秒という余力の持ち主なのに。エコカーには決してなり得ないけれど。

満タンで走れる距離は560kmほどで、物足りない。ベンテイガでディーゼルエンジンの支持が高い理由は、より長い航続距離を求めているのだと思う。

編集部に来たベンテイガは良く働き、オドメーターは2万2000kmを超えた。とても快適で堂々とした、郊外の道に適したクルマだったからだろう。スタッフの1人は、数回の短い休暇の足にした。ルーフキャリアを積み、家族の荷物を満載して。

大きかったと彼は後で話していた。走破性も高く実用的だとも。

オフロードとして、筆者がベンテイガでトライした最も過酷なコンディションは、数百mの湿った草地の丘を超えた程度。わたしの運転していた間、ホイールスピンをすることすら殆どなかった。だが別のスタッフが、ベンテイガの発表時に過酷なオフロードコースに挑戦している。

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