【先代より8割増しで綺麗】新VWゴルフ2.0 TDIに試乗 8代目にもディーゼル

公開 : 2019.12.23 09:50

上質ながら最良の組合せではない

乗り心地もしなやかで全般的に良い。試乗車にはDDCと呼ばれるアダプティブダンパーが装備されていたが、150ps以上のゴルフに採用される独立懸架式のリアサスペンションの影響も大きいはず。

今回の試乗コースを走った限り、橋桁の継ぎ目などでは明確な振動があった。英国で乗る場合は18インチより小さいホイールの方が望ましいと思う。

フォルクスワーゲン・ゴルフ2.0 TDI
フォルクスワーゲン・ゴルフ2.0 TDI

ディーゼルエンジンは燃費を優先させたためか、高負荷時のノイズが予想よりも荒々しい。先進的な雰囲気のインテリアとは不釣り合いに感じる。穏やかに走っている限り、熟成された上質な味わいはある。

車内はイノビジョン・コクピットと呼ばれるタッチモニターとセンサーによる操作系が導入され、物理的なスイッチはほぼ見当たらない。使い勝手は完璧とはいえず、コマンドや操作方法を覚える作業に抵抗を感じる人もいるだろう。

開放的なインテリア全体のデザインや素材の質感は非常に高く、メルセデス・ベンツAクラスが安っぽく、BMW 1シリーズが狭く感じられてしまうほど。

これらの印象をまとめると、ファリミー層向けのハッチバックとして最良の組合せとするには、違うエンジンも試したくなる。特に高速道路での合流加速や、3速コーナーの脱出時に響くTDIエンジンの唸り声が、上質さを薄めている。

ただし、エンジンが洗練性を欠くわけではない。7速で走行できる高速道路では回転数は1500rpm程度に保たれ、エンジンの存在自体が目立たなくなる。シャープな形状のドアミラーから生じる風切り音が気になるくらいに静かだ。

低速域では2000rpmを超えるまで、やや鈍さを感じることもある。だが3速以上の速度域では、4000rpm以上回す必要がないほどリニアで力強い加速が得られる。

日常的に長距離を走るならディーゼル

多くのドライバーにとって、使いでの良い低速トルクは価格に見合う強みでもある。荷物や家族を沢山乗せて移動する時、TSIだけでなくマイルド・ハイブリッドのeTSIと比べても、力強い走りを味わえるはず。

高速巡航時の上質さを備えた燃費で優れるディーゼルエンジンは、日常的に長距離を走るドライバーにとって大きな魅力となる。走りの楽しさではTSIの方が上だとしても。

フォルクスワーゲン・ゴルフ2.0 TDI
フォルクスワーゲン・ゴルフ2.0 TDI

BMW 1シリーズのエンジンの方が、訴求力は強いかもしれない。ハンドリングも秀逸で、インフォテインメント・システムも操作しやすい。だが居心地の良さ、特にリアシートのヘッドルームの狭さは避けがたい。

メルセデス・ベンツAクラスの乗り心地は新しいゴルフに及ばないし、アウディA3はモデル末期。最新のフォード・フォーカスには、ゴルフ並みの洗練性が備わらない。フォルクスワーゲンが採用した運転支援技術や、質感も見た目も良いコクピットも無視できない価値がある。

車両価格や燃費が正式に明らかになるまで、評価は難しい。それでも少なくとも7代目と同様に、8代目ゴルフもこのクラス最強のオールラウンダーであることは間違いないだろう。

英国の道でディーゼル・ハッチバック対決もしてみたいところだ。すべての主要モデルを直接比較して、お互いの実力を確かめたい。

フォルクスワーゲン・ゴルフ2.0 TDIのスペック

価格:2万8000ポンド(392万円・予想)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1400kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:経由
最高出力:150ps/3500−4000rpm
最大トルク:36.7kg-m/1750−3000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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