【AMGといえば4ドアサルーン】メルセデスAMG A35 サルーンに試乗 2.0Lで306ps

公開 : 2019.12.25 09:50

フィーリング豊かなステアリングが強み

完璧なパッケージングの中にあるドラマチックさと一体感という点では、細かな部分も気になってくる。シフトパドルの操作感は悪くはない。それでもステアリングホイールには余りに多くのスイッチ類が配され、シリアスなドライバーズカーとして相応しいとは思えない。

ダイナミクス性能としては、A35のハッチバックと基本的に同じで、充分に評価できる。握りやすいステアリングホイールには、フロントタイヤから不足のない情報が伝わり、不安感がない。AMGの最大の強みでもあり、路面が濡れていても思い切って速く走らせることができる。

メルセデスAMG A35 4マティック・サルーン
メルセデスAMG A35 4マティック・サルーン

グリップ力は極めて高いが、ギリギリまで踏ん張って限界を迎えると、穏やかなアンダーステアに転じる。メルセデスAMG A35 サルーンの場合、リアタイヤに伝えられるトルクは最大でも50%。かつてのAMGハンマーとは異なる部分だといえる。

威勢のいいBMW M2コンペティションのように、ハンドリングを積極的に楽しむタイプではない。どちらかといえば、完成度の高い前輪駆動のホットハッチのように走る。AMGのエンブレムに釣り合うだけの加速はするが、操縦の楽しみに奥行きは感じにくい。

もうひとつ、固定式のサスペンションにも触れたい。スピードを問わず、素晴らしい姿勢制御を叶えてくれている。そのかわり、毎日の移動手段とするには滑らかさが足りない。通常、ハッチバックよりもサルーンには、ある程度のしなやかさを求めると思う。

オプションでAMGライドコントロールを選択し、アダプティブ・ダンパーを装備すれば、コンフォート・モードで乗り心地は改善できる。それでもA35 サルーンは、同等ライバルの水準の中ではかなり硬い方だ。

実用的で個性的で、驚異的に速い

筆者としては、A35 サルーンの真価を味わうには、マニュアル・トランスミッションが必要だと思う。控え目なルックスにハイパワーエンジンの組み合わせは、羊の皮をかぶった的なクルマではあるが、ハンドリングは強い一体感を得られるほど訴求力に溢れるものではない。

走行時の洗練性という面では、間もなく登場するアウディS3 サルーンが高い水準で準備してくるはず。そうなるとMAGとしての楽しさは一層重要になる。

メルセデスAMG A35 4マティック・サルーン
メルセデスAMG A35 4マティック・サルーン

3ペダルのMT車は、単に速いクルマとしてだけでなく、天候を問わない高性能マシンとしてもドライバーを惹きつけるはず。若い層にも受けるコンパクトAMGとして、マニュアルという選択肢は充分にアリだと思う。

だとしても、A35ハッチバックやそれに近いモデルを検討しているドライバーにとって、A35 サルーンは候補に加えたいクルマだ。AMGの濃度はそこまで濃くはないものの、実用的で個性的で、驚異的に速い。

メルセデスAMG A35 4マティック・サルーンのスペック

価格:3万5580ポンド(498万円)
全長:4549mm(標準Aクラス
全幅:1796mm(標準Aクラス)
全高:1446mm(標準Aクラス)
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:13.7-13.8km/L
CO2排出量:164-167g/km
乾燥重量:1570kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:306ps/5800rpm
最大トルク:40.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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