【アメリカ自動車ディーラーの本音】「EV/自動運転はどうでもいい」 本当に売りたいクルマは

公開 : 2020.01.03 11:50  更新 : 2021.10.09 23:55

ディーラーにとって、うまみが大きいワケ

ディーラーにとって、うまみの大きなクルマとは、
・利幅が大きいこと
・ディーラーオプションが売れること
・リセールバリュー(下取り価格)が高いこと
等が挙げられる。

ライトトラックは、この3点をしっかり含んでいるのだ。

フォードのピックアップトラック。「レンジャー」
フォードのピックアップトラック。「レンジャー」

そもそも、自動車の新車販売での粗利は少ない。そのため、利益は新車価格が高いクルマのほうが実額として大きい。

セダンやクーペに比べて、ボディ寸法に比例するように価格が高いSUVは、この原理にマッチする。

また、SUVとピックアップトラックでは、大径ホイール、ルーフキャリア、インテリアの加飾品や便利グッズなどメーカーオプションのほか、アフターマーケット製品が数多く出回っており、ディーラーとしても顧客に進めやすい。

こうした部品販売の粗利は、新車販売に比べてかなり高い。

また、リセールバリューが高いと、ユーザーにとってはプラス要因になるのは当然だが、ディーラーにとっては新車が販売しやすくなり、また中古車の再販価格を高く設定することもできる。

要するに、ディーラーにとってライトトラックは「儲かるビジネス」なのだ。

EVやPHEVはプレミアムとしてのイメージ

そうした中、テスラがEVのサイバートラックを発表するなど、ライトトラック分野でもEVが入ってきた。

ただし、これはあくまでも、一部のプレミアムブランドが商機を見出そうしているだけ。

テスラ・サイバートラック
テスラ・サイバートラック

一般的なカーディーラーは「テスラは別物。われわれはまだEVを本気で売る体制にはなっていない」という声がある。

プラグインハイブリットも同じで、「利便性よりプレミアム性イメージが優先」(欧州プレミアムブランドのディーラー関係者)という。

EVでこうした話なのだから、自動運転については、さらにその先、というイメージである。

こうした市場動向によって、アメリカのディーラーが最も欲しがる商品は、ボディ寸法が大きく高額なフルサイズSUVなのだ。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

おすすめ記事

 

人気記事