【頭文字D(イニシャルD)】「藤原豆腐店」は実在した! 区画整理で伊香保の博物館に移設
公開 : 2020.01.01 07:20
区画整理のタイミングで閉店 その後は?
もう1つ、看板やその他のセットを映画と同様に残していたことには寂しい理由もあった。
2回目にロケ地巡りで訪れた際、お店のご主人がこのような話をしていた。
「この場所は渋川市の区画整理が行われる場所なんです。あと1〜2年もしたら豆腐店も無くなってしまうんですよ」
「藤野屋豆腐店は100年以上続いている豆腐屋ですが、わたしたちの次にお店を継ぐ後継者もいません」
「それで、区画整理でお店が取り壊されるタイミングで、お店をたたもうと思っているんです」
わたしたちもその話を聞いて非常に寂しい思いをした。閉店の話は瞬く間に世界中を駆け巡り、多くの頭文字Dファンを悲しませた。
中には、「お店を丸ごと移築したい」「博物館にしたい」という遠方からの申し出もあったとのこと。
取り壊されてなくなってしまうことを案じた多くのファンは、とある博物館に藤原豆腐店の移設を嘆願するメールを送り始めた。
その博物館とは伊香保温泉にある「伊香保おもちゃと人形・自動車博物館」である。
私設博物館として日本一の来場者数を誇る人気の施設だ。
伊香保と言えば藤原拓海が中学生の頃から、父親である文太の命によってハチロクに豆腐を積んで、午前4時に店を出て配達に向かっていたルート上にある温泉街でもある。
移設先としては最高の場所だ。
ファンの願いが叶った!
伊香保おもちゃと人形・自動車博物館館長の横田正治氏に移設までの経緯についてお話を伺った。
「区画整理で壊されることを知った多くの頭文字Dファンから、『博物館に移築してください』というメールが殺到しました」
「わたし自身は世代的に頭文字Dとは少し離れていたので、驚きましたね」
「あまりにもたくさんの嘆願メールをいただいたので、移設することを決めました」
「ご親族が保管していた店舗看板、外装、備品等が博物館に寄贈され再現されたエリアが2014年に完成しました」
「オープニングには、藤野屋豆腐屋さんの娘さんとお孫さんにもご来場いただきました」
ファンの願いが叶って、無事、「藤原豆腐店」を残す場所としてもっともふさわしい「伊香保」の地に無事移設されることになったのである。
そしてさらに、ファンを喜ばせる試みがちょうど1年前にスタートした。
「博物館の外壁をバックにして愛車と写真が撮れるよう、2018年12月に豆腐屋を作りました」
「『藤原とうふ店』のマグネットシールを貸し出しして、愛車にシールを貼って写真が撮れるような工夫をしています」
愛車と一緒に藤原豆腐店をバックに写真が撮れるサービスが始まったことで、オープニングには韓国からフェリーに愛車(なんと4台も)を積んで駆けつけてくれたファンもいたそうだ。
ミュージアムには作者であるしげの秀一がファーストオーナーの平成4年式マツダRX-7も展示されている。