【SUVのSクラス】新型メルセデス・ベンツGLS 400dに試乗 乗り心地以外は期待通り
公開 : 2020.01.02 10:20
輝く発進や停止時の力強さとマナー
ステアリングホイールの操舵感は正確性が高く重み付けも考えられている。スポーツモードを選べば、適度な手応えも感じられる。ただしスポーツモードを選ぶとサスペンションも引き締まり乗り心地は悪化するから、インディビジュアル・モードで個別に設定しておいた方が良さそうだ。
もっとも、GLSでスポーティに走りたいと感じることはないかもしれないが。
GLSでもっともキラリと輝く部分は、発進や停止時の力強さとマナー。SUVのSクラスという表現に疑問を感じない部分でもある。
静止状態からの加速は感動的なほどに滑らかで、2.9Lディーゼルが生み出す芳醇なトルクによって、優雅な加速を味わわせてくれる。そのままアクセルを踏んでいても、伸びはさほど得られない。
高速でのクルージング時では、エンジンノイズは殆ど聞き取れないほど静か。22インチのアルミホイールが、期待値よりわずかに大きいロードノイズを発するくらいだ。
ブレーキの操作感も極めて良好。ペダルへ伝わるフィーリングにも優れ、長いストロークに応じて徐々に制動力が増していく感じに好感が持てる。
GLSの車内は誰しもが快適に感じられるはず。ふんだんに用いられたレザーに、美し磨き上げられた金属製のトリムが色を添える。しかし、贅沢感でいうとレンジローバーやX7の方が上にも感じられてしまう。
スタイリングを取るかハンドリングを取るか
おそらくGLSのインテリアが孤高の仕上りを得ているのではなく、大型化されたGLEという雰囲気を感じ取れるからだと思う。BMW X7もX5の兄貴的な部分はあるのだけれど、何にも得意分野は存在するものだ。
BMW X7の方が優れていると感じられる部分には、3列目シートの大きさもある。X7なら大人でも快適に座ることができるものの、GLSの3列目に長時間座っていられるのは子供に限られる。そのかわり、2列目シートはSクラスのように広々としている。
英国の場合、メルセデス・ベンツGLS 400dの価格はBMW X7 xドライブ30d Mスポーツとほぼ変わりない。X7のやや雑然としたスタイリングが気に入らないという理由で、端正なGLSを選ぶということも成り立つだろう。
反面、BMW X7のステアリングフィールはより魅力的で、操縦性や乗り心地の洗練度も高い。ボディは、走っている限り目に入らないという考え方もある。
メルセデス・ベンツGLS 400d 4マティック AMGライン・プレミアムのスペック
価格:7万5040ポンド(1050万円)
全長:5213mm
全幅:1960mm
全高:−
最高速度:238km/h
0-100km/h加速:6.3秒
燃費:10.2-11.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:2490kg
パワートレイン:直列6気筒2925ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:330ps/3600-4200rpm
最大トルク:71.2kg-m/1200-3200rpm
ギアボックス:9速オートマティック