【警告灯と警告音にご注意】アウディA6 クワトロ 長期テスト(2) 通勤時のパンク
公開 : 2019.12.26 10:50 更新 : 2019.12.26 16:07
ドイツ御三家、Eクラスと5シリーズに並ぶ存在のA6。幅広い訴求力が必要となる、クラスベストのエグゼクティブ・サルーンといえるのか、長期テストを通じて最新アウディA6を分析していきます。
積算2505km 心安らぐオーラに包まれる長距離通勤
比較的長くデータを記録するトリップコンピューターで良し悪しなのが、通勤にどれだけ長時間を費やしているのかがわかること。3週間で通勤に使った時間は48時間以上。平均の移動スピードは45km/hだ。
といっても、それほど不満なわけではない。毎日のA6での通勤は楽しみの1つ。洗練性が生む、心安らぐオーラに包まれる心地よさ。毎日の仕事はそんなに穏やかなものではないのだから。
積算8389km 警告灯と警告音に気付かない
ロータスを創設したコーリン・チャップマンはかつてこういった。「心配しなくて大丈夫。うまくいきます」 不必要に心配することを好んでいなかったようだ。
以前ロータスに関わっていたスタッフによれば、多くの場合、実際に大丈夫だったらしい。しかし時には、残念ながら駄目な時もある。今のわたしにも、それがよく理解できる。
ある寒い金曜日の朝、ロンドンへと向う高速道路のガードレールの外で救援を待っている間、チャップマンの楽観主義について考えていた。ラッシュアワーで絶え間なく通り過ぎるクルマの走行音を聞きながら。
アウディA6は50mほど手前の路肩に停まっている。「右リアタイヤの空気圧が低い」 という警告を表示し、アラームを鳴らして。大丈夫だと思ったのだけれど。
「こんなに酷くなるまで気付かなかったのですか?」 30分ほど待って来た、ロードサービスのマークは陽気に話す。「もしアラームが鳴った時に停まっていれば、タイヤは大丈夫だったかもしれませんよ」
クルマとドライバーとのリレーションシップ
鋭くえぐられたピレリPゼロは、鋭利な金属か何かを踏んだことを物語っていた。でも、タイヤのサウドウォールを破断させたのは自分の過ち。タイヤがパンクした状態で、楽観的な気持ちで走っていたからに他ならない。その日はちょっと仕事も忙しかった。
アウディは複数回、ちゃんと事前に警告を発していた。最初に警報音が鳴ったあと、もう一度警報音が鳴ってエアサスペンションの深刻な不具合を示す赤いメッセージが表示された。最終的にはホイールボルトが緩んでいるという警告も出た。
実際は違う原因だったのだが、自分の判断は間違っていたというわけ。良い教訓になった。クルマが警報を出したら、その内容に耳を傾けるべきだと。
こんな判断につながった理由は、日常的に鳴っていたアラームが影響していると思う。毎日の渋滞走行で、必要がないのに緊急ブレーキのセンサーが働き、警告表示やアラームに慣れていたところがある。
このような過剰に思える動作はアウディA6に限ったことではないが、クルマの訴えをわたしが信頼するという関係を阻害していたといえる。でも今回のパンクによって、考えが変わったことは確かだ。
災い転じてだが、それ以降、家族と一緒の長距離旅行などを通じてクルマとのリレーションシップは強くなった。10代の子供は中学卒業の試験対策に忙しく、3歳の双子と妻とでコッツウォルズでの週末を楽しんだ。