【WRC前提の3ドア】トヨタGRヤリス・プロトタイプ 新開発1.6L 3気筒ターボ 前編
公開 : 2019.12.28 10:50 更新 : 2021.03.05 18:46
指一本で曲がるほど薄いバンパー
「開発チームが3ドアの必要性を提案しましたが、新しいボディが必要となるため、当初の同意は得られませんでした。多くの競技を重ね、上層部と戦い実現できたのです」
車両の軽量化は重要な要素で、開発では天国にいるコーリン・チャップマンと心の中で相談したそうだ。GRヤリスのバンパーは、指一本で簡単に凹ませることができるほど薄いことを誇らしげに話す。
「当初は多くの議論を引き起こしました。指一本で曲がるようでは安普請に思われるかもしれませんが、軽量ボディのためならお客様は理解してくれると考えました」
斎藤がトヨタ上層部から勝ち取った、標準のヤリスとは異なる変更点を知るほど、開発費は安くなかったことが見えてくる。「お金勘定優先のクルマではないといえますね」 と斎藤は笑って話す。
軽量なボディの内側には、更に多くの特別が隠れている。最もわかりやすい違いは、3気筒1.6Lターボエンジンだろう。バランスを考えて、このクルマに合致する最大のユニットだという。
スバルWRX STIに搭載されている2.0Lターボユニットなど、ライバルモデルのエンジンも試してみたが、どれも重すぎると感じたそうだ。この1.6Lターボはまったくの新開発エンジンで、トヨタらしからず、ハイブリッド要素はまったくない。
ポルトガルのエストリル・サーキットでの試乗は後編にて。