【OEM車/共同開発車】なぜメーカー同士でタッグを組むのか? 本当のねらい/メリット
公開 : 2020.01.04 16:50 更新 : 2021.10.13 13:58
見たことのあるクルマに、べつメーカーのエンブレムがついていることがあります。これはOEMが理由です。OEMとはべつに、共同開発という手法もあります。それぞれの違いをまとめ、ねらいを探ります。
OEM車とは何なのか? 「共同開発」もある
他メーカーの車両を自社ブランドで販売するOEM(original equipment manufacturer=相手先(委託者)ブランド名製造)販売。
バッジエンジニアリングとも言われ、今では珍しくない販売手段となっている。
自社で軽自動車を生産していないトヨタや、軽自動車の製造から撤退したスバルがダイハツの軽を自社ブランドで販売していたり、同じく商用車から撤退したマツダがトヨタの商用車を販売していたりするのがその例と言えるだろう。
OEM販売の場合、ほとんどがベース車に対しての手直しをせず、車名とメーカーエンブレム程度の変更程度の差別化で販売されており、グレードやボディカラー、装備などの仕様もベース車よりも絞られていることがほとんどとなっている。
一方、同じく他メーカーが生産した車両を自社ブランドで販売するということは同じながら、開発段階から両メーカーがタッグを組み、共同で開発されたモデルというものも存在する。
例を挙げるなら日産デイズと三菱ekワゴンや、トヨタ86とスバルBRZ、最近だとトヨタ・スープラとBMW Z4などが共同開発で誕生した車種となる。
こちらは純粋なOEM販売車両に比べ、内外装の違いはもちろん、足回りのセッティング、果てはボディタイプまで異なる場合もある。
それではOEM車と共同開発車の違いはどこにあるのだろうか?
自社ラインナップの穴をカバーするOEM車
他社からOEM供給を受ける一番の理由は自社のラインナップを拡充するというものだ。
前述のトヨタやスバル、マツダなども自社で軽自動車や商用車を製造していないため、OEM供給を受けている。
そもそもなぜ自車にない車種をわざわざ他メーカーから供給してもらってまでラインナップするのか、という疑問が生じる。
これは自社のユーザーが他メーカーに流れないようにするという意味がある。
今までスバルの軽やマツダの商用車を使用してきたユーザーが乗り換えのタイミングになったとき、そのメーカーにラインナップがなければ当然他メーカーの車種を検討するのは自然な流れ。
そうなると今まで点検整備や車検で入庫してくれていたユーザーを失うことになり、メーカーや販売会社にとって大きな痛手となってしまうのだ。
それなら自社で生産すればいいでないか、と考える方もいることだろう。
しかし車両を新規で開発、生産するには多大なる時間と費用が必要となる。また、製造ラインにも限度があるため、そう簡単に新規車種を作るわけにもいかないというメーカーの事情があるのだ。
つまりOEM車というのは、「自社で開発するほど重要ではないが、かといってなくなってしまうと困る車種」を他メーカーから供給を受けて販売しているというわけなのである。